俺たちの戦いはこれからだ!
甘い話を書けといわれたので・・・第2弾
第1弾は後に投稿されるはず!
ある月明かりに照らされた屋敷の中、割烹着の上にエプロンという、チョコレートケーキチョコソース掛けみたいな少女が歩いていた。
身長は155程度、銀色の髪をサイドに括っており、瞳は透けるような緋色、どこか浮世ばなれした雰囲気の少女である。というより体が軽く透けている。見えてる!窓から見えてるから!早くその事実に気付いて!
「今日のご飯は何にしましょうかー」
コツコツと廊下で何を作ろうか考えながら一人呟く。たまに肉料理もいいですねー、確か材料はあったような…うん、悩んでいても仕方ないので聞いてみることにしましょう。
「そーだんしよう♪そーしよう♪」 そう結論を出すと、屋敷の住人がいつも居るであろうテラスへと向かう。いつものように消えて出てもいいのだけれど、こんな満月の夜は歩きたい気分。
テラスに入る直前の扉の前で、息を殺しながら外の様子を伺う。誰も逢瀬の瞬間になど出会いたくはないのである。今までで出会ったことはありませんが
ひよっこども!突入にはタイミングが命だ!気を抜くな!
イエスサー!
脳内で誰かの激励が飛ぶなか、うすーくドアを開けて外の様子を伺う。誰でも逢瀬の瞬間に興味はあるのである。今まで出会ったことはありませんが。
中では吸血鬼こと我が屋敷の主(暫定)であるエウナさんに、自称魔法使いこと、いつの間にか住み着いていた来夢さんが後ろからもたれかかっていた。
エウナさんはいつもの黒を貴重としたドレスに金色の髪、来夢さんの方は…後ろからなので赤いコートと黒の髪しか見えないですね。それにしても二人とも綺麗な髪です。
ん?、いつもと何だか様子が変?来夢さんが照れたようにもじもじしてますし。
これは聞くしかないですね!これは盗み聞きではない、聞こえたのだ!どれどれー?
「エウナさんエウナさん」
「ん?何よ?」
「えっとね…そのね…」
「だから何?大切なこと?」
「えっと、そうなんです…実は…」 ごくり…なにやら緊張した雰囲気が漂ってきます。そして何か桃色の気配が!この気配!まさか!
「実は…赤ちゃんが出来たの」
っ!?私の脳内に衝撃走る!え?赤ちゃんって何?
「そう、私たちの子供がついに出来たのね!」
そういってエウナさんは、来夢さんの方へ振り向くと抱きしめました。
えっ?待って何この展開?何時の間にそんなことが?
「それで…そのぅ…」
「ええ!こうしてはいられないわ!スグにでも結婚しましょう!」
私の混乱もよそに二人だけの世界は続いていく。アレ?エウナさんホントに?子供って何?というより女同士で子供とかできるの?吸血鬼だから何でもありなの?というよりあの子見た感じ子供なんだけどその辺どうなの?ハハッゲイリー。
どうする…ただでさえ幽霊屋敷とか言われて変な巫女とか坊主とかが除霊しに来て面倒だっていうのに…そこに吸血鬼だって!?しかも子供を孕ませたとか世間にわかった日には、我が屋敷の世間体というものが!…屋敷内に子供の叫びとかが木霊するんですかそうですか。いっそあの吸血鬼を殺して私の子ということに…私に出来るのか?いや、出来る出来ないじゃない!するんだ!
そこまで考えるとゆらりと力を集める、目標はあの吸血鬼!
「幸せに…してくださいね」
そういうと来夢さんは、幸せそうにエウナさんの胸へと顔をうずめた。
…幸せそうですね。私は体の中に集めた力を拡散させると、扉を開ける。まったく、あんな笑顔を見せられたら私にはどうしようもないじゃないですか。
「メリーっ!?何時からそこに!?」
「すみません、ご飯のメニューを聞きに来たら聞こえてしまいました」
「そう…それじゃ」
「はい、今晩は豪華にしますね♪」
そう伝えると食堂の方へと移動する。来夢さん、可愛かったなー。
それにしても結婚式ですかー、来夢さんがドレス着るのかな?楽しみです。でも子供が出来るとなると、来夢さんがお母さんで、エウナさんがお父さん、そうすると私は…
…おばさん?
いやいや、それはない、私はまだぴちぴちの少女である。幽霊だから歳を取らないから一生少女のままだとか、そういったことはどうでもいい。少なくとも私はまだおばさんと呼ばれる歳ではない!
それに結婚なんてしたら、もう来夢さんをぎゅっとしながら撫で撫でしたり、一緒にお風呂を入っての背中流しごっこや、二人で夫婦生活をするおままごとなんかまでもができなくなるではないか!
おのれ、許すまじきはあの吸血鬼…私から我が家の平穏を奪うどころか、我が癒しすらも奪おうというのか!
この結婚式…絶対に止めなければ…!
メリーは食堂にて、包丁を片手にそう決意するのであった。
□ □ □ □
ゴーンゴーン
協会の上にあるベルが、二人を祝福するかのように鳴り響く。
今日は結婚式当日、二人にとっては大切な思い出となる日である。
その協会近くの空き地にて、黒のボディスーツ、片手にはヘルメットを抱えているという、いかにも怪しげな格好の人たちが集まっていた。
「それじゃ作戦は事前に通告したとおり…いいですね?」
その中では比較的小柄なリーダーの風の少女が緊張した様子で他の人の顔を見渡すと言った。
リーダー風の少女は、流れるような銀色の髪に緋色の瞳。今日はサイドに括ることはしてないようである。ヘルメットを被るのだから当たり前か。
「すでに目標地点にはαチームが先行しています。時が来たら我々も向かわねばなりません。皆さんすでに戦いの準備は万全ですね?」 イエスサー!彼女の周りにいる人たちがそう叫ぶ。
「今宵、協会は戦場となる。…敵の力は強大であり、多くの仲間の命が失われるだろう。…それでも!我々には誰にも負けない強い想いがある!我々はどんな犠牲を払ってでも、アレを阻止しなければならない!」
皆その言葉を緊張した様子で聞いている。ここに集うのは皆、人里にて我こそはと集まった『来夢ちゃんを愛でる会』の勇士ばかりである。私語や話を聞いていないものなど一人も居ない!
そう、この連中、これから二人の結婚式をぶち壊そうとしているのである。
余談であるが、ここには『来夢ちゃんを愛でる会』の他に『メリーさんにいたずらされたい』の会のメンバーもいるが、団結に乱れはないようである。
「ママー、あの人たち何してるのー?」
「しっ!見ちゃいけません!」
母親が我が子の目を塞ぎながら空き地を急いで通り過ぎた様だが、今ここに集うのは精鋭のみ!その程度で心は折れない!
そして銀髪の少女の激励も最後となり、ふと厳しい顔を緩め、優しく微笑むと
「帰ったら、皆で美味しいお酒でも飲みましょう」
ちなみに、そのときの顔を見た隊員の一部が、ああ…ここに来てよかった…といった悟りの局地へと旅立ち掛けたのだが、彼女に気づく様子はない。
「では作戦開始!」
そして銀髪の少女は顔を引き締めると、ヘルメットを被り、戦いの号令を出した。
「こちらαチーム!こちらαチーム!βチーム、応答願う!」
「こちらβチーム!どうした!αチーム!」
「敵の力は巨大にて、我が隊はほぼ壊滅状態!これから生き残った隊員を集めての最後の陽動を行う!」
「ダメだ!αチーム!後はこちらに任せて帰還しろ!」
「ふっ…必ず…勝ってくれよ!」
「αチーム!αチーム!」
その通信が最後となりαチームとの連絡が途切れた。
「そんな…αチームが…」
その事実に呆然と立ちすくむ私、すると
「行きましょう!隊長!αチームの意思を無駄には出来ません!」
『行きましょう!』
『隊長!指示を!』
見ると傷ついて立てなくなった隊員までが、最後の力を振り絞って立ち上がると私の周りに集まっていた。
「みんな…」
「我々は…我々はなんとしても勝たなければならないのです!さぁ指示を!」
そう…そうよね。私は涙を堪えると、最後の命令を出した。
「全体聞こえるな!これからαチームが最後の陽動をする!おそらくこれが最後のチャンスになるだろう…全軍!突撃!」
そして最終決戦の幕が開いた。
□ □ □ □
以下おまけ
今までの話を壊したくない人は読まないほうがいいよ!
「はっ!夢か!」
飛び起きると場所は戦場でなく、見慣れたベットの上。…どうやら来夢さんを抱き枕にお昼寝をしたまま今まで眠りこけていたらしい。
隣を見ても抱き枕の姿はない、先に起きたようですね。
窓を見るともういい時間、起きたばかりですが、ご飯の支度としましょう。
そう今後の予定を決めると、いつもの浴衣から割烹着にエプロン姿へと着替え、部屋の外へと出る。どちらも来夢さんが自分のためにと買ってきてくれた、大切な服の1つ。
「今日のご飯は何にしましょうかー」
コツコツと廊下で何を作ろうか考えながら一人呟く。たまに肉料理もいいですねー、確か材料はあったような…うん、悩んでいても仕方ないので聞いてみることにしましょう。
「そーだんしよう♪そーしよう♪」
そう結論を出すと、屋敷の住人がいつも居るであろうテラスへと向かう。いつものように消えて出てもいいのだが、こんな満月の夜は歩きたい気分。
テラスに入る直前の扉の前で息を殺しながら外の様子を伺う。誰も逢瀬の瞬間になど出会いたくはないのである。今までで出会ったことはありませんが
ひよっこども!突入にはタイミングが命だ!気を抜くな!
イエスサー!
脳内で誰かの激励が飛ぶなか、うすーくドアを開けて外の様子を伺う。誰でも逢瀬の瞬間に興味はあるのである。今まで出会ったことはありませんが。
中では吸血鬼こと我が屋敷の主(暫定)であるエウナさんに、自称魔法使いこと、いつの間にか住み着いていた来夢さんが後ろからもたれかるようにしてっ眠っていた。
エウナさんはいつもの黒を貴重としたドレスに金色の髪、来夢さんの方は…後ろからなので赤いコートと黒の髪しか見えないですね。それにしても二人とも綺麗な髪です。
ん?待てよ?この光景…どこかで見たような…。ハッ、さっきまで見ていた夢か!
となると次に出るのはあの展開!いかん!それは阻止しなければ!
そう決めるや否や勢いよく扉をあけると、走りこみ右腕を振りかぶる。狙うはにっくき吸血鬼!
「αチームの仇ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!」
渾身の右ストレートが炸裂し、憎き吸血鬼はテラスの下へとぶっ飛んでいった。やった…!ついにやったよみんな!
逆の手で愛しの少女の救出し、ぎゅっと抱きしめながらなでなでをすることも忘れてはいない。
「ほぇ…?メリーさん?エウナさんは…?」
「あんな人はいいんですよー♪ほら、眠いなら私の胸を貸してあげますから」
「メリーさん柔らかくて気持ちいいー…」
まだ寝ぼけているのか、来夢さんはぎゅっとする私の胸に顔を押し付けると、すやすやと眠ってしまいました。ふふ、可愛い。
私はテラスの下から膨大な殺気が上ってくるのを肌で感じながらも、月を見上げる。
ああ…我が生涯、一片の悔いなし!
おまけがおまけになってませんが、無害です
少しでも楽しんでいただけたら幸い