魔法がある世界の始まり
女王になったニィファはエーリックのために一つの施設を作り上げた
それは宮廷医としてのものではなく、魔法の研究のための施設だった
その施設ではエーリックの他にも何人かの助手が働くことになった
そう、エーリックは残りの人生を魔法の研究に捧げることを決意したのだ
ニィファはそれを全力で支援しようと決めた
周囲からは不思議そうな反応が返ってきたが、ニィファとエーリックの二人にとって魔法はおとぎ話の存在ではなかった
この二人だけが魔法の存在を確信していた
まず複数の人員によりヴェ=リェの家にあった本は次々と写本され、解読が試みられた
時間とともに書かれている内容が少しずつ解明されていく
だが、膨大な時間が過ぎて行った
本の内容の解読自体はそれほど長くはかからなかったが、そこからが長かったのだ
本の内容からわかったことは、魔法を使えるようになるには、魔法を使える人から力を引き出してもらう必要があるということ
つまり、最初の一人が存在しなければ、他の誰も魔法の力を得ることができない
その一人となる可能性があるのはヴェ=リェであったが、彼女が姿を現すはずもない
だから、エーリックはその最初の一人となるべくひたすら研究を繰り返した
そして魔法の研究を続けて20年ほどが経過した
エーリックは40歳を超えていた
それまでにも様々な試みが繰り返されていたが、試行錯誤を繰り返した結果、ついにその時が訪れた
エーリックは瞬間的なものではあったが自分の中に魔力を感じた
これが魔法に関する歴史が始まった瞬間だった
そこからは早かった
それまで得られた本の知識から、具体的な魔法が作り上げられていった
そして、エーリックは魔法を発動させることにも成功した
その事はニィファの元にも伝えられた
二人は大いに喜び、自室でお祝いを行った
そうして夜が更けていった頃、二人の元に一人の人物が現れた
「大したものね。本当に自力で魔法を使えるようになるなんて」
その人物を二人は知っていた
かつて、山小屋で助けてくれた女性
「やっぱりお前がヴェ=リェだったんだな」
エーリックが問いかける
「いえ、私はそんな名前じゃないわよ。前にも名乗ったはずだけど」
「だったら、その姿はなんなんだ。20年も経ったのにあの頃と何も変わらない」
「・・・・・・。まあ、いいわ。なんと呼んでもらっても」
そう返したあと、ヴェ=リェは真剣な表情になる
「あなたが呼び起こした力。それは危険なものよ」
「魔法のことか?」
「そう、私は魔法の力で滅んだ世界を知っている」
「さすが永遠の時を生きる魔女だな。それはいつの話なんだ?」
「私にとっては遠い過去の話よ」
つまりヴェ=リェは警告をしにきたのだ
魔法を広めるのを思いとどまれと
「だが、俺達がその時と同じ過ちを繰り返すとは限らない。そうだろ?」
「そうね」
「だったら、俺はやはりこの力を広めたいと思う。だって、これはニィファを救ってくれた力じゃないか」
「・・・・・」
「しかし、その警告は覚えておくよ。お前は永遠の時を生きるんだろ?だったらこの世界の未来も見届けてくれないか」
その言葉を聞くとヴェ=リェは二人に背を向け
「そのつもりでいるわ」
そう言って、去っていった
それ以降、メランデル国では国民全員に魔法が普及していった
それにより国全体が大きく栄えた
そしてエーリックの魔法の研究所はやがて魔法学校となり、多くの人達が通い、また魔法の発展も促進されていった
しかし、永遠の命という高度な魔法は作り出されることはなかった
そしてエーリックは67歳でこの世を去った
エーリックは世界に魔法をもたらした人物として、後世まで歴史上の偉人として称えられた
次回から時代も主人公も変わります




