光り輝く洞窟
エーリックとニィファは城を抜け出した後、光り輝く洞窟の物語が書かれた土地を目指して旅を始めた
それは単なるおとぎ話であり、そんなものが存在するなんて二人も思ってもいない
それでも、二人に必要だったのは旅をする目的だったのかもしれない
まず手がかりとなるのは山頂が三つに分かれている特徴的な山だ
物語にはそう書かれていた
エーリックには思い当たる山があった
コルティス山だ
それは王城からはかなり離れた場所にある
しかし、行って行けない距離ではない
車椅子に乗った王女と男の二人旅
最初のうちはそれを見かけた国の人達に挨拶をされたが、それは王城から離れるに連れて減っていった
二人は道中、どこかの街に辿り着いたら宿に泊まり、食料などを補給し、それ以外の道中は野宿のような旅をした
王女にとっては初めての体験に違いない
固い地面に布を敷いて寝る
焚火を起こし、食料を焼いて食べる
川で体を洗う
寝て起きたら王女は再び抱きかかえられて車椅子に乗り移動する
しかし、それが二人が選んだ道だった
間違いなくすでに城の人達は事態を察している
街の人達からも情報が集まっているだろう
しかし追手が来ることはなかった
後継者となることも難しい王女と追放された宮廷医
二人がいなくなっても王宮では誰も困らないのかもしれない
しかし、二人にとってはむしろその状況は望ましかった
そうして二人が旅を続けると海が見えてきた
「綺麗・・・・」
生まれて初めて見る海にニィファの胸がときめく
エーリックも一緒に海を眺めた
景色を眺めながら海沿いに進んでいくとコルティス山が見えてきた
そして、目の前の大地には深い茂みが見えてきた
おとぎ話ではそこには道が整備されており、やがて2つの小さな川を橋で渡るとある
しかし、道なんてものは見えない
「ここを通るのは難しいな」
エーリックは思案する
この辺りで引き返すのが良いのかと思った時
「迂回してもう少し進んでみましょうよ。その先に川が2つ見えれば続行!」
「そうだな。もし川なんて無ければ引き返そう」
しかし回り込みながら進むと本当に川があった
しかも2つある
橋は架かってないが
ここまで来ると二人はおとぎ話に信憑性を感じ始めていた
あまりにも地形が現実に一致している
しかし、車椅子の大部分が木で出来ていて浮かぶことは出来そうとはいえ、それで渡るのは危険そうだ
川はそれほど深そうではないが、少なくとも背丈ほどの深さはある
「どうする?」
エーリックが尋ねると
「渡りましょう!」
ニィファは迷わず答えた
「よしわかった。しばらくここで待っていてくれ」
そう言うと、ニィファを残しエーリックは海辺へ引き返した
流木を集めてくれば何かできるかもしれない
最終的に車輪の間に長い木を何本も通すことで安定しそうだとわかった
「じゃ、行こう」
「うん!」
川を二つ超えると、そこにはゴロゴロとした大きな石が連なる岩場が見えた
岩の隙間に洞窟の入り口があると書かれていた
しかし、地面が平らになっている部分がほとんどなく、車椅子では通れそうにない
「ちょっとここで待っていてくれ」
そう言うと、エーリックは一人で洞窟の入り口を探した
30分くらい経っただろうか
「ニィファ!」
叫びながらエーリックが帰ってくる
「どうだった?」
ニィファが尋ねると、エーリックは何も答えずにいきなりニィファを背負った
「行くよ!」
そういうとニィファを背負って駆け足で歩き始めた
そして、その先には洞窟の入り口があった
二人が洞窟に入った瞬間、周囲にキラキラと輝く岩がたくさん見えた
「光り輝く洞窟・・・・」
ニィファが思わず呟く
二人はそのまま洞窟の奥へと進んでいき、この世のものとは思えないような景色に心が奪われていった




