呪いの真実と、ルークの告白
時を同じくして、ルーク王太子もまた、カイとは別のルートから真相に近づいていた。
彼は、セレスティーナが幼い頃、王宮の書庫から特定の古文書を熱心に読んでいたことを思い出した。それは、歴代の王家が封印してきた「王家の呪いと、それを打ち消す『盾』の存在」に関する記述だった。
ルークは直ちに公爵家を召喚し、真実を問いただした。
「公爵。セレスティーナが悪女を演じていた理由を話せ」
エルヴェ公爵は、王家の真実を語る覚悟を決めた。
「殿下、エルヴェ家は代々、王家の血筋に現れる『呪い』を封じる『盾』の役割を担ってきました。この呪いは、王族が『愛と憎しみの間で揺れ動いた時』に、憎悪を無限に増幅させ、無辜の者を断罪させます」
「セレスティーナは、この呪いを自身に引き受けました。殿下を愛しているがゆえに、自らを憎ませ、断罪させることで、呪いを『破戒の令嬢』として固定し、王国から切り離そうとしたのです」
つまり、セレスティーナが悪女を演じたのは、ルークへの愛が、呪いによって彼自身を破滅させることを恐れたためだった。彼女の行動の『過剰な露骨さ』は、憎悪を早く、確実にルークの中に植え付け、彼女をすぐに断罪させるための愛の犠牲だったのだ。
ルークは、自分の憎しみが、セレスティーナの犠牲の上に成り立っていたことを悟り、激しい後悔に打ちのめされた。そして、もう一つの真実に気づく。
「フローラ様は……」
「はい。フローラ様は、セレスティーナが活動した村々の功績を盗み、それを自身の『聖女の力』として、殿下への影響力を高めようとしました。彼女こそが、悪意を持ってセレスティーナを陥れた張本人です」
ルークは、己が愛した聖女が偽りであり、憎んだ悪女こそが真の『聖女』であったという、残酷な真実に直面した。




