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物書きの言い訳

空想世界を語る言葉(主に漢字とルビについて)

 私の小説ウェリガナイザには難しい漢字が多くて読むのが大変と言われる。

 で、ルビがたくさん振ってあります。ひらがなに書き直すとか、難しい言葉を使わないという選択はしたくない。

 と、いう事でいくつかその理由というか言い訳を並べてみたいと思います。


第一に

 「問題をられつする」とか「物見ゆさん」「守備隊をはけんする」「さくそうする」って書いてあったら、一目で意味を把握しにくいと思うから。

 「意味をはあくする」もわかりにくいですよね。ちなみに、それぞれの漢字は羅列・遊山・派遣・錯綜。


第二に

 物語には物語の雰囲気にあった言葉(単語・文字)があると思います。

 賢者と言われる人間同志が話すのに平易な言葉ばかり使うのも、特別な事情(大人の会話を小耳にはさんだばかりで使ってみたかったとか)なしに子供が小難しい言葉を使うのも変だし。

 それと同じで地の文も口語的表現が似合う物語と文語的表現が似合うものがありますよね。

 だから「(にら)み付ける」でなく「睥睨(へいげい)する」、「歩き抜く」でなく「踏破(とうは)する」というような表現の方が適当な事もある、と。


第三

 同音異義語の問題。

 「降参・興産・公算・鉱産」というような明らかに意味が違うものの他にも「撮る、取る、盗る、採る、獲る、捕る、執る、摂る、録る」など、「とる」と書いてしまうのとはちょっと受け取り方が変わると思える。

 それと同じように「穢す」と「汚す」「けがす」は私にはかなりイメージが違う文字なのでやっぱり「穢す」を使いたい事もあるし。


 話は変わりますが、当て字について。

 上述の「とる」という単語の場合、私は更に「()る」を使う事もあります。

 それは普通に使われているどの「とる」よりも「奪う」という意味合いを強調したい、でも「奪う」と書くのは嫌な訳です。

 言葉のリズムを大事にしたいと思っているから。

 ちゃんと出来ているかは置いておいて、音読して耳に心地よい文章を書く事を目指しているので、前後の文章の音の響きとの兼ね合いで「奪う」だと語呂が悪い。でも「とる」だと、どの「とる」か強調できない。で、ルビをふるのです。

 「顔を見る」と「表情(かお)を見る」ではその行動の意味合いが違ってくる論者なので。

 心話(こえ)創始(はじめ)時期(とき)光彩(かがやき)陽光(ひかり)など、なんでって思われるかもしれないけど、これも「声、始め、時、輝き、光」とは書きたくない事もあるのです。


 またウェリガナイザの場合は更に独自の固有名詞、陽の淡海(ひのあわみ)大都島(おおつしま)風待月(かざまちづき)なども加わるから余計にルビが増えます。

 通常《ウェリアの守護者(ウェリガナイザ)》と言えば選ばれた勇者を指すが、その勇者の振るう魔剣もまた《ウェリアの護り(ウェリガナイザ)》と呼ばれる。

 魔剣は普段現世(うつしよ)にはなく、主人公がしている外せない腕輪に()め込まれた宝石の形をとっている、そして現れた魔剣の柄にも腕輪の物とそっくりな宝石が輝いている。

 という設定なので、魔剣(ウェリガナイザ)腕輪(ウェリガナイザ)宝石(ウェリガナイザ)という表記があったり、語呂の問題で宝石(ほうせき)ではなく宝石(いし)と読んで欲しいけど石とは書きたくない、なんていう事も。

 できるだけ正確な意味を伝えたいけれど、音の響きにも妥協したくない。こういう我儘がかなえられるのが、ルビという独特な形態を持つ日本語の素晴らしいところなのだから、積極的に活用していきたいな、というのが自作小説の画面がうるさくなる事への言い訳です。


 自前のホームページで「ウェリガナイザ」を連載していた時に読者向けに書いた言い訳です。発表した当時とは一部書き換えてあります。

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