表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
走るのが好きなのでAGIに全振りしました  作者: 藍色黄色


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

72/114

第72話


「ゴンドラレース?」

「ヒナタ知らない? レイドボスのことは知ってたのに」

「ずっとレイドボスのことで頭がいっぱいだったから」


 何せ人生初のレイドバトルだった。陸上の部活でも仲間と協力して試合に臨んだことはなかった。


 数十人が一体のボスを相手に団結して立ち向かう。そんなことを聞いたら他のことは頭に入らなくなった。

 

 だから私は悪くない、と思う。


「レースってことは、それが次のイベントなんだね。ゴンドラでレースなんてできるの?」


 脳裏に浮かぶのはオールで漕ぐタイプの船。とてもレースなんてできるようなスピードじゃなかった気がする。


「MPを消費すると加速する特別性だってさ。今は乗り場も設けられてるからそこで練習できるよ」

「へえ、面白くなりそうだね。そういえばこの前やった勝負は一勝一敗で終わってたね。ちょうどいいからレースで決めようよ」

「言うね、まだゴンドラに乗ってすらいないのに」

「イベントだよ? レースなんだよ。白黒つけるならこれ以上の機会はないって」

「勝負ごと好きだねぇ。分かった、と言いたいところだけど難しいかなぁ」

「どうして?」

「プレイヤーはいくつかのブロックに分けられるんだよ。私とヒナタが同じブロックに割り振られるかどうかは運任せなの」

「なーんだ、じゃあだめか。でもレースは真面目にやりたいし今から試乗してくるよ。みんなはどうする?」

「私はパス。元々レイドやったら落ちるつもりだったから」


 モンシロに続いてミザリとサムライさんもパス。


 私は一人ゴンドラ乗り場に足を運んだ。NPCと言葉を交わして木製の船底に靴裏をつける。


 特別なゴンドラに漕ぎ手はいない。


 レース本番での漕ぎ手は自分だ。操縦席に腰を下ろしてハンドルを握る。


 光の粒が集まって大きなイルカを形作った。私の眼前に操作ウィンドウが表示される。


 加速、減速、その他文字列の下に消費MPが記されている。


 進行方向はハンドルを切って指示するみたいだ。キュッと鳴いて応じるイルカが実にかわいらしい。


 後ろからゴンドラがすれ違った。見るからに魔法使いな様相のプレイヤーがどんどん前に進んでいく。


 負けじと加速を選択した。ぐんと慣性が強まって前を走るゴンドラに迫る。


 それも加速の効果が見られた間だけ。繰り返す内にMPが尽きて加速できなくなった。一足先に前を走るゴンドラが右の道に消える。


 MPは自動で回復するものの、最初に持っているMPの量で加速回数に差がある。どうやっても追いつけないのは自明の理だ。


 あれ。


 もしかしてこのレース、MPに振ってない私は不利なんじゃ。


 コンソールを開いてイベントの詳細を確認する。


 ゴンドラが破壊不可な一方でプレイヤーへの攻撃妨害は許される。他人のゴンドラを乗っ取ることもできるらしい。


 中々アグレッシブなレースになりそうだ。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ