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第19話


 ログインして忍び装束のアバターに同調する。


 揚羽に教えてもらったことを試すべく人差し指で宙をなぞる。


 ショートカットアクションに反応してコンソールが開いた。ステータス画面を開いて、そこからスキルツリーの欄を開く。

  

 ウィンドウ内にいくつもの長方形が浮かび上がる。


 その一つ一つにスキルが割り当てられている。一つ修得したら複数の長方形に枝分かれして、次に修得しやすいスキルを示す仕組みらしい。スキルツリーとは言い得て妙だ。


「ってこれ、ほとんど習得できないじゃない」


 スキルの修得条件に割り当てられているのはステータスだ。


 序盤はレベルを上げれば修得できるものばかりだけど、中盤になるとSTRやVITの要求値が急激に高まる。


 ステータスの要求値は装備のステータスボーナスを含まない。AGIに特化させた私のアバターとスキルツリーの仕様は相性が悪い。


「ビルド変えなきゃ駄目かなぁ」


 レベルを上げればレベルアップボーナスの他に任意のポイントを+1できる。


 私のキャラレベルは低い。今ならまだ平均的なビルドに戻せる。


「……いや、やっぱりなし!」


 ここまでAGIに特化させたんだ。今さら汎用ビルドを目指しても誰かの劣化にしかならない。多少不便でもAGIに特化させた方がましだ。


 スキルツリーを閉じる。


 通知が入っていることに気づいた。リボンで包装された宝箱のアイコンをタップする。


 運営からメールが届いていた。この前のイベントで三位にランクインしたことを祝う言葉に続いて、商品を贈るむねが記されている。


 受け取るのボタンを押してアイテムの性能を確認する。


『珠玉を追う者』


+X(足防具)


 


 見たことのない表記だ。Xって何だろう。(足防具)って書いてあるし、足防具のステータスをコピーすると考えていいんだろうか。


 何より目を引くのはアイテムのレア度だ。specialって書いてある。


 何かすごそうだ。大会の入賞報酬だから特別なレア度に指定されているのかもしれない。

 

 早速装備してみよう。


 コンソールを開いて装備のウィンドウを展開する。


 首元に淡い光が発生した。遅れて赤色のスカーフが背中にふわっと垂れる。


 黒霞シリーズが暗い色を帯びているから、スカーフの赤がアクセントになっていい感じだ。


 テンションが上がってきた。ゲーム内ツールを使ってストップウォッチのタイマーをセットする。


 意欲に身を任せて石だたみの地面を蹴った。徐々にスピードを上げて風を感じながらいつものコースを走る。


 スカーフが風を受けてたなびくものの、思ったよりは邪魔にならない。採取ポイントを片っ端から回って日課の採集にはげむ。


 コースを走り終えてタイマーを止めた。


 この前と比べて十秒ほどタイムが縮まった。


 今日まで装身具は籠手とバンドしかつけてなかった。『黒霞・風成*』のAGIボーナスをコピーした分だけ走るスピードが上がったのだろう。


 最高に気分がいい。


 適正レベルにはちょっと満たないけど、新しいダンジョンに挑戦してみようかな。

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