Episode:06
原因は単純で、実技がAクラスじゃ並で、学科がイマイチだからだ。やたら得意な工学系で点稼いで、どうにか落ちないでる。
これだとふつうの傭兵隊はともかく、上級はけっこう厳しい。Bクラスに実技だけは強いヤツなんかも居るから、そっちが先に受かりそうなくらいだ。
工学系が得意だし、物作ったりなんかも得意だから、そっちで受けりゃ間違いないんだろうけど……俺にはまだ決められなかった。
専門で受けたら、いわゆる上級隊にはなれない。だから踏ん切りが付かない。
「アーマル君……どうするの?」
「分かんないな。悩んでる」
俺の答えに、ルーフェイアが納得したみたいに頷いた。
だから逆に訊いてみる。
「お前は?」
「え? あたし? えっと……やっぱり、上級かな」
予想通りだ。
学科も出来るルーフェイアだけど、もっと飛びぬけてんのが実技だ。正直実技だけなら、上級隊の先輩にも引け取らない。
なんせ今の時点で、何度も任務に参加して、手放しの実績挙げてる。前線育ちってだけはあった。
「ま、今すぐ決めることでもないし。食べちゃえよ」
「うん」
ルーフェイアが昼食の残りを、口に運ぶ。
もういくらも残ってなかったから、じきに食べ終わって、この子が立ち上がった。
「ありがと」
「行こう」
トレイ片付けて、まず図書館へ。けど、ここからが難関だった。
「なんでないんだ?」
「分かんない……」
何がどうなってるんだか、探しても探しても例の住所、見当たらない。
「ほんとにケンディクか?」
「うん。ロア先輩、そう言ってたから……」
それでなんとなく分かった。
あの先輩悪い人じゃないけど、時々いい加減だって聞く。だから今回も、なんかテキトーな住所書いたんだろう。
「行き方とかは?」
「軌道バスで二駅くらい、って……。でもこの住所で調べれば、分かるからって」
調べればって、調べても分かんねぇじゃん。先輩何やってんだよ。
「軌道バスじゃ、範囲広いな」
「うん……」
これじゃきっと、先輩帰ってくるまでどこだか分かんないだろう。
「ちょっと、急ぎたかったんだけど……」
残念そうに肩を落としてうつむくルーフェイア、なんか気の毒すぎる。
「明日、探さないか?」
気づいたときには俺、そう言ってた。
「ダメかもだけど、探さないよりいいだろ?」
「え? あ、うん。でも、いいの?」
驚きと、嬉しさの混じった表情。この子、こんな顔もするんだな。
「冬休みだから、時間あるし」
「そっか。――ありがと」
笑顔でお礼言われて、俺が内心また舞い上がったのは、言うまでもない。