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Episode:49

「あぁ、すまんの、子供に愚痴など聞かせてしまったわ。どれ、もう一度よく見てみるかの」

 おじいさんが俺を離して、また指輪を眺める。

「ロドマ殿は、指輪を誰に渡したんじゃろうなぁ? 一族の誰かなのは、間違いないが……」

 なんだかすごく、申し訳ない気持ちになる。俺が何も覚えてないせいで、全く手がかりが無い。


「――すみません」

 いたたまれなくなって謝ると、おじいさんのほうが慌てた。

「いやいや、謝らんでいい。生き延びただけでも運がいいのに、それ以上望んだワシのほうが悪いんじゃ。ほら、いいから顔をよく見せておくれ」

 促されて、顔を上げる。


「やっぱりあちらの系統じゃの、顔立ちがロドマ殿に似とる。そういえば、名前はなんと言ったかな?」

「アーマルです」

 姓のほうは知らない。何かあったはずだけど、覚えないうちに母さんは死んだし。


「アーマルとな? 間違いないな?」

「は、はい」

 急におじいさんの語気が強くなって、気圧される。


「そうか、そうじゃったか。ロドマ殿の直系か」

「え?」

 俺の名前、何か秘密でもあったんだろか?


「あの、何か……分かったんですか?」

 おじいさんがうなずいた。


「そのアーマルと言う名、ロドマ殿の長男の名じゃ。ワシの姉が天から教えられて、子供に付けたんじゃ」

「はぁ……」

 天から教えられるとか、よく分からない。

 俺が不思議がってるのに気づいたんだろう、教授が横から口を挟んだ。


「ニルギアじゃ族長の子が生まれる前に、代々伝わる聖なる地へ母親が行く風習があってね。そこで思い浮かんだ名を、付けることになってるんだよ」

「へぇ……」

 教授が言うには、たいていは名のあるご先祖様や精霊の名前らしいけど、たまによく分からない名が出ることもあるんだって言う。


「ロドマ殿の息子のときも、あんまりにも変わった名前なもので、物議を醸したんじゃ。じゃがもう一度行っても姉はもちろん、一緒に行った者まで同じ名を唱えて帰る有様でな」

 なんかすごくオカルトだ。


「最後はロドマ殿まで行ってみたものの、同じことが起こっての。これはもうご先祖様の意思じゃろうと、そのまま付けたんじゃ」

 言っておじいさんがまた、俺の頭を撫でる。





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