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Episode:36

「や、やべぇぞコイツ!」

 グループの1人が叫ぶ。あたしも同感だ。

 というかさっきから「大学教授」のイメージが、音を立てて崩れてってる。天才と馬鹿は……ってよく言うけど、実態はそれ以上にしか思えない。


「こないのなら、こちらからだ。ロワメナ神の従者に手を出した報い、その身で思い知れ。行くぞ、きょっえーっ!」

 怪鳥みたいな叫び声を上げながら、教授が手近な1人に踊りかかった。


 ――あ、案外強いかも。

 その辺の若い人より動きが速いし、相手の動きも良く見えてる。

 教授はその間に頭突きで1人を昏倒させて、また雄たけびを上げた。


「ひひゃひゃ、弱い、弱いぞ文明人よ! 我らロワメナ戦士の敵ではないわ!」

 教授だってケンディクで暮らしてるのだから、十分文明人だと思うのだけど、その事実は無かったことになってるらしい。

 可哀想なのは、あたしたちを連れてきたグループだ。あまりの事態に、腰を抜かして座り込む人まで出てる。

 それでも2、3人、後ずさりながら逃げ出した。


「けきょっ、逃げるとは卑怯な! 食らえっ!」

 教授が手を突き出すと、広場の出口に電撃が炸裂する。

 逃げようとしてた何人かが、驚いて尻餅をついた。


「きょーっきょっきょっきょ、思い知ったかっ!」

 響く哄笑。

 たぶん何かの儀式と一緒で、教授はあの仮面をかぶることで、一種のトランス状態になるんだろう。

 ただそれを差し引いても、まったくの無詠唱であの威力なんて反則だ。


「たっ、助けてくれっ!」

 グループのほうは、気の毒なくらい怯えてる。きっと一生のトラウマになるに違いない。


「けきゃきゃ、そぉれ、天の裁きじゃっ!」

 台詞に嫌なものを感じて、とっさにグループと教授の間に入って、防御魔法を唱える。

「ルス・バレーっ!」

「そぉりゃっ!」


 天から文字通りいかずちが降り注いだけど、間一髪で防御魔法が間に合う。こんなのまともに食らったら、黒コゲになるところだ。

 でも魔法の範囲を広げたせいで完全には防ぎきれなくて、グループの男たちは痺れてひっくり返ってる。立ってるのは、元からある程度魔法を防げるあたしだけだ。、


「きょほほほほほ、神は偉大なり!」

 何かが絶対間違ってると思うけど、教授は満足したみたいだった。

 けど周囲を見回してた視線が、あたしで止まる。


「きょっきょっ、その美しさ、敵といえど守ろうとするその慈愛、もしやネラマニの化身!」

「え……」

 教授、何かおかしなモードに突入したらしい。





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