表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/59

Episode:31

「じゃぁ、もう俺以外誰も……?」

 せっかくいろいろ分かったのに、他に居ないってのはちょっと悲しい。

 そんな俺に、教授が言った。


「いや、そんなことはない。血は繋がってないかもしれないが、ゴルンデノ平原南部出身の人なら、このケンディクにも居るよ」

「ほんとですか!」


 なんせシエラに居るくらいだから、身寄りがないのは当たり前として……俺の場合他の生徒と違って、出身が遠すぎて同郷にも会ったことない。

 なのに、こんなに近くに居たなんて。


「あの、どこの誰ですか? どこに住んでますか?」

 会ってみたかった。

 イマドとかヴィオレイは友達だけど、同郷ってのはまた違う。血とか土地の繋がりって、そういうもんだ。

 けど教授は、思案顔だ。


「あの、教授?」

「いや、居ることはいるんだが……その、住んでる場所がアレでね。東地区なんだよ」

「東地区……」

 このケンディクでも、治安がよくないので有名なとこだ。

 でも、会ってみたい。


「場所、教えてください。俺、行ってきます」

「いやその、教えてあげたいのは山々だが、子供が行くようなところじゃないだろう」

 教授は及び腰だ。でも俺は、どうあっても行くつもりだった。


 ケンディクの東地区は、たしかに治安は他所に比べたら悪い。でもすぐ近くにある、シエラの分校の生徒が、依頼されて見回りに出てる。

 逆に言うなら、せいぜいそれで済むくらいの荒れ方だ。本校のAクラスなら、気をつければ何とかなる。


「あの、あたしからも、お願いします」

 今まで黙ってたルーフェイアが、教授の前へ出た。


「教授は、あんまりご存知ないかもしれないですけど……学院生のほとんどは、こういうこと、とても気になるんです」

 ルーフェイア、やっぱいいヤツ過ぎる。一緒に居られる俺、どう考えてもメチャクチャ運がいい。


「えーとキミ、そんな瞳で見上げないでくれ! 私は美少女に弱いんだ!」

 瞬間また盛大な音が響いて、教授が頭を抱えてしゃがみこんだ。

「まったく、いつもそう変態発言ばっかりして!」

 お姉さん、激怒してる。


「この子たち、シエラの本校生なんでしょう? じゃぁ大丈夫ですよ。それに教授、もしかしたら何か新しい発見、あるかもしれませんし」

「それもそうか」

 教授があっさり言いくるめられた。でも、いいのか?


「よし、じゃぁ先方に連絡とってみて、居たら私も一緒に行こう。それでいいかね?」

「はい!」

 何か分かるかもしれない、そんな期待で、俺は返事した。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ