表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/59

Episode:30

「偉大なるドラバ=ンドクの――なんだって!」

 素っ頓狂な声が上がる。リング部分の細かい文字は、とんでもない内容だったらしい。


「大変だ、ティティ王国の開祖じゃないか! ドラバ=ンドクの娘、エンマ=オルニテの子にこれを贈る。末永く栄えんことを。あぁ、だから豊穣神ネラマニの印なのか」

 教授が独りで納得しまくりだ。


「えっと、その、それって……?」

「つまりだね、この指輪はティティ王国を作ったドラバ=ンドク王の末娘、エンマ=オルニテの子供――つまり王の孫に、贈られたものなんだよ」

 かなり興奮してるらしくて、教授の声が上ずってる。


「――それ、ホントですか?」

 でも俺は、イマイチ信じられなかったり。そりゃ本当ならいいなぁ、とは思うけど。

 シエラに居ると現実的な連中ばっかのせいか、この手の夢はどっかへ置き忘れる感じだ。うっかり信じて騙されただの、殺されかかっただのって話ばっかり聞くから、どうにも用心深くなる。


「まぁそりゃ、細かく調べてみないと分からないが……本物の可能性は高いと思う」

 教授のほうは、ちょっと自信ありげだ。


「ほら、この台座の裏を見てごらん?」

「この模様が、なんかあるんです?」

 小さいくせにやたら複雑な模様が、裏には刻まれてる。今まで気づいちゃいたけど、これに意味があるなんて思ったことなかった。


「これは、ンドク王の印なんだ。他にも王や王子、王女は自分の印を持ってる。ただ一般には知られてなくて、王家直属の彫金士が一子相伝で伝えてた」

「へぇ……」

 こんな小さな指輪から、一気に歴史のロマンの世界だ。


「滅多にこれは刻まれない。下賜品なんかには、よほどじゃないと付かないね。けど、この指輪にはその印がある」

「じゃぁ俺、もしかして……その子孫ですか?」

 なんだかよく分かんないけど、マジでエラいことになってきた気がする。


「だろうね。直系かどうかは分からないが、どこかで繋がってるんだろう」

 壮大な話だ。俺と遠く血の繋がる先に、そんな王が居るなんて。


「あと何か、分かりますか? 例えば、その王家の末裔が、他にどこにいるかとか」

「うーん、それはどうだろう」

 教授がちょっと、考え込む。


「ティティ王家はとうに滅びてるし、ニルギアが混乱した際に各家系も滅茶苦茶になってるから、今辿るのは難しいんだよ。実際キミも、この指輪の由来さえ知らなかっただろう?」

 たしかに言われてみればそうだ。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ