表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/59

Episode:03

「えーと、えーと、その、珍しいな? 一人とか」

「……うん」

 よし、今度はまともだ。ちゃんと会話繋がったし。たぶん。


「シーモアとナティエス、新年はみんなと一緒だって、ロデスティオに帰っちゃって……」

 澄んだ声にちょっと感動。ルーフェイアが俺だけと話してる!


 この子と2人で話すとか、実は難しい。シーモアたちだったり、イマドだったり、先輩だったり、ともかくいつも誰かと一緒だ。

 で、シーモアたちが居るようなとこへ入ろうもんなら、おっそろしいことになる。


「ミルは?」

「ミルもまた、アヴァンで。ロア先輩は……任務だし。あと、イマドもアヴァンだし」


 ――天国から地獄。

 やっぱそうだよな、俺ってただの代替品だよな……。

 身体中からがっくり力が抜けてく。何やってんだよ俺。どうみても馬鹿じゃん。


「えっと、アーマル……くん?」

 しょせん「くん」づけだし。

「あの、ごめんなさい……」

 あ、ヤバイこの子泣く。


「いい、謝らなくて!」

 焦って言ったらちょっとキツくなっちまって、ルーフェイアが身をすくませた。マジやばい。こんなとこで泣かせたら、俺絶対袋叩きだ。てか泣かせるとかサイテーだ。


「いやだから、えっと、じゃなくて、悪いの俺だし」

 これじゃ何言ってんだか、余計わかんねぇだろ。

 自分の性格と口下手を心底呪う。せめてヴィオレイみたいなら、もう少しちゃんと言えるだろうに。


「その、泣かないで食べろよ」

 きょとんとした表情見せたあと、ルーフェイアが微笑んだ。やった!

「イマドと同じこと、言うんだ」


 ご先祖様、俺泣いてもいいですか?

 どうせダメだって分かってるのに魅かれる自分、哀れすぎだ。とはいえ、それで割り切れないのが「気持ち」なわけで。


 かなりモヤモヤしながら、でもこの子に悟られないように、必死に表情を取り繕う。

 でも気の利いたことも言えなくて、沈黙の昼食になった。ホントに俺ってダメだ。

 耐え切んなかったみたいで、ルーフェイアのほうが口を開く。


「えっと、あのね……ヴィオレイ君は?」

「あぁ、あいつ当番」

 って俺、ぶっきらぼうすぎだろ……。何でこんなふうにしか言えないんだよ。

 けど意外だけど、この子がほっと息を吐いた。


「どした?」

「あ、うん。その……彼、ちょっと苦手で……」

 今すごく、優越感感じてる自分が居たり。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ