Episode:03
「えーと、えーと、その、珍しいな? 一人とか」
「……うん」
よし、今度はまともだ。ちゃんと会話繋がったし。たぶん。
「シーモアとナティエス、新年はみんなと一緒だって、ロデスティオに帰っちゃって……」
澄んだ声にちょっと感動。ルーフェイアが俺だけと話してる!
この子と2人で話すとか、実は難しい。シーモアたちだったり、イマドだったり、先輩だったり、ともかくいつも誰かと一緒だ。
で、シーモアたちが居るようなとこへ入ろうもんなら、おっそろしいことになる。
「ミルは?」
「ミルもまた、アヴァンで。ロア先輩は……任務だし。あと、イマドもアヴァンだし」
――天国から地獄。
やっぱそうだよな、俺ってただの代替品だよな……。
身体中からがっくり力が抜けてく。何やってんだよ俺。どうみても馬鹿じゃん。
「えっと、アーマル……くん?」
しょせん「くん」づけだし。
「あの、ごめんなさい……」
あ、ヤバイこの子泣く。
「いい、謝らなくて!」
焦って言ったらちょっとキツくなっちまって、ルーフェイアが身をすくませた。マジやばい。こんなとこで泣かせたら、俺絶対袋叩きだ。てか泣かせるとかサイテーだ。
「いやだから、えっと、じゃなくて、悪いの俺だし」
これじゃ何言ってんだか、余計わかんねぇだろ。
自分の性格と口下手を心底呪う。せめてヴィオレイみたいなら、もう少しちゃんと言えるだろうに。
「その、泣かないで食べろよ」
きょとんとした表情見せたあと、ルーフェイアが微笑んだ。やった!
「イマドと同じこと、言うんだ」
ご先祖様、俺泣いてもいいですか?
どうせダメだって分かってるのに魅かれる自分、哀れすぎだ。とはいえ、それで割り切れないのが「気持ち」なわけで。
かなりモヤモヤしながら、でもこの子に悟られないように、必死に表情を取り繕う。
でも気の利いたことも言えなくて、沈黙の昼食になった。ホントに俺ってダメだ。
耐え切んなかったみたいで、ルーフェイアのほうが口を開く。
「えっと、あのね……ヴィオレイ君は?」
「あぁ、あいつ当番」
って俺、ぶっきらぼうすぎだろ……。何でこんなふうにしか言えないんだよ。
けど意外だけど、この子がほっと息を吐いた。
「どした?」
「あ、うん。その……彼、ちょっと苦手で……」
今すごく、優越感感じてる自分が居たり。