Episode:24
「教授! お客さん!」
ドアを開けてお姉さんが大きな声で言うと、ぴたっと音がやんだ。
恐る恐る、その影から中を覗いて見る。
――ここ、どこですか?
まっさきに思い浮かんだのは、その言葉だった。
楕円の黒い板に目鼻の穴あけて、極彩色で彩った仮面。頭に着けた長い角。全身は緑の葉っぱで覆われて、手には巨鳥の翼よろしく羽がつけられてる。
ほかにもフェイスペインティングした人たちが、太鼓を前にして何人も並んでた。
「いやぁ、ニルギアのお客が来るって言うから、歓迎しようと思って」
緑の怪人が言いながら、こっちへ来る。
「ミラダ君、それでお客は?」
「あたしの後ろで固まってますけど」
緑の怪人――これ教授らしい――が、ドアまで来て覗き込んだ。
ルーフェイアが縮こまって、お姉さんの背中に張り付く。
ここは俺が、と思って前へ出ようとしたら、お姉さんが教授の頭をげんこつで殴った。
「まったく、こんな小さい子怖がらせてどーすんですか!」
「や、しまった、すまんすまん」
怪人が仮面に手を伸ばして脱ぐ。
下から出てきたのは、赤い髪に灰色の瞳の、どこにでも居そうなオヤジだった。ルーフェイアがやっと落ち着いたらしくて、ほっと息を吐く。
「ほんと、教授ったら人騒がせなんだから」
「いやいや、ニルギアの珍しい指輪が見られると聞いて、嬉しくてねー」
なんか俺、大学の教授ってすごく立派な人だと思ってたけど……音を立ててイメージが崩れてった。
だって、これじゃただの変人だ。
「で、指輪はどこかな、お譲ちゃん」
訊くようすがまたまた、どこからどう見ても変質者風味だったり。これにはさすがのルーフェイアも、及び腰だ。
それでも健気に、彼女がか細い声で言う。
「あの、えっと……あたしじゃ、ないです……」
「なんとっ!」
大声で言われて、ルーフェイアが首をすくめた。
「ご、ごめんなさい!」
まずい、これじゃ泣く。
「それ、俺です!」
急いで間へ入って、俺は言った。
「指輪、俺が持ってますから」
「……なんだ、ボウヤのほうか」
教授の、あからさまに落胆した顔。