Episode:02
意外だけど肌の色そのものでどうこうは、あんま言われない。
なんせシエラは、かなり多国籍だ。だから肌の色も髪の色も瞳の色も、色とりどりだったりする。
ただそん中でも俺みたいのは、さすがにかなり少数派だ。
別にシエラ側が、えり好みしてるわけじゃない。単に建ってる位置と国の関係で、俺みたいのが少ないだけだ。
っても少数派となれば、そんだけ立場は微妙なわけで。
ましてや相席ってなったら、似たような外見の相手選ぶのがふつうだ。女子は滅多に男子のとこへは行かないし、逆もそう。同じ女子同士男子同士のとこへ行くにしても、俺みたいにあからさまに違うヤツのとこは、知り合い以外は遠慮する。
責める気はなかった。だって俺も逆の立場なら、そうするだろうから。
別に誰も悪くない。なんとなく俺が、ちょっとモヤモヤしてるだけだ。
その点よく考えてみると、イマドだのヴィオレイのヤツはすげーな、と思う。最初の頃からたしか、そういうのを気にしてなかった。
何で一緒になったのかは、もう忘れた。イマドがいちばん先で、俺とヴィオレイが翌年の入学だったはずだ。たぶんAクラスに入った時点で、一緒になってったんだろう。
まぁどっちにしても、1人で食事なんて今限りなわけで……。
「あのね……ここ、いい?」
「え?」
いきなり声かけられて、焦る。
澄んだ声。金髪に華奢な身体つき。ルーフェイアだった。
「え、あ、あぁ、ほら座れよ」
ダメだ俺、慌てすぎ。
「えっと……ありがと」
「礼とかいいから、うん」
ルーフェイアがトレイを置いて、軽やかに座った。
当然注目の的。俺に刺さる視線が痛すぎる。
――気持ちいいけど。
狙ってるヤツ多数のルーフェイアが、自分のほうから相席言ってくるとか、今ごろ歯噛みしてるヤツかなりいるはず。
後がちょっと怖い気はするけど、今は考えないでおく。
「その、メシ、要るか?」
黙ってたらすごく悪いヤツの気がして、ともかく話してみる。
「え? でも、ごはんここに……」
何言ってんだ落ち着け俺。目の前にメシあるっての。
「そ、そうだよな、うん。えーと、何か要るものは……」
だから落ち着け俺。取ってきてんだから、揃ってるに決まってるじゃん。
「えっと、大丈夫。ありがと」
ダメだ俺マジ舞い上がってる。笑顔とか向けてお礼言われたら、顔見らんねぇってば。
つか、なんか話題変えないと。墓穴掘りすぎだろ。