Episode:18
「あのね、あれは……?」
「博物館。元々は宮殿」
他にも劇場、広場、大学と、有名どころに差し掛かるたんびに聞いてくる。けどすごく楽しそうだ。
それにしたってルーフェイア、もう何年もシエラに居るのに、びっくりするほどケンディク知らない。こんど街めぐりでもしたほうが、マジでいいかもしんない。
まぁ、いっぱいオマケが来るんだろうけど……。
そうやってるうちに少しずつ街の雰囲気が変わって、目的の停留所へ着いた。
「降りないと」
「あ、うん」
まだ外見てたそうなルーフェイアを、促して降りる。イマドも言ってたけど、確かに誰かが見てないと、いろいろ危なっかしい感じだ。
でもそんなとこも、可愛いわけだけど。
「どこだろ……」
ルーフェイアが周りを見回すと、金髪がそれに合わせて踊った。すごく綺麗だ。
「こっちだ」
地図を見て、歩き出す。
気配がしないから心配になって振り返ってみると、ルーフェイアが足音もさせずについてきてた。
戦場上がりなだけあって、こういうとこも俺らとは違う。でも言ったらまた泣きそうだから、言わなかった。
街の雰囲気は、港に近い。いろいろ雑多に混じってて、行き交う人の格好もさまざまだ。
あと今更ながらに気づいたのが、かなり多国籍だ。港町だからなんだろうけど、髪も瞳も肌もいろんな人が多かった。
俺的にはこのほうがいいな……なんて思いながら、歩いていく。さっきみたいな、あんな連中に絡まれるのはゴメンだ。
てか内心、けっこう動揺してる。話には聞いてたけど、実力重視のシエラじゃこんなことなかった。
シエラでその手の話がほとんどないのは、やってるヒマがないからだ。
なんせ学院、ひとつ間違えば大怪我するような授業も多いわけで。しかも、グループで何かすることもしょっちゅうだ。だから「出来るヤツ」と組まないと、冗談抜きでとんでもないことになる。結果として、実力さえあれば色なんて気にするヤツは居なかった。
「あ、ここかも……?」
言ってルーフェイアが立ち止まる。
「かな」
配達屋のおじさんが言ってたとおり、「ナザールの店」って看板が出てた。
「すみません……」
ルーフェイアがドア開けて、恐る恐るって調子で入ってく。
店の中は、ワケわかんないものが満載だった。なんか古びた壷、ティーセット、人形、ランプ、昔の魔道士が使ってたような杖、魔方陣、ほんとに何でもアリだ。