Episode:17
◇Armal
教えてもらった停留所は、すぐ見つかった。なにしろ裏路地出てど真ん前なんだから、間違いようがない。
少し待って、来たやつに乗り込む。
「この辺って、すごいね……アヴァンみたい」
ルーフェイア、窓の外見ながら嬉しそうだ。ちょっと子供っぽい感じもするけど、もともと小柄で華奢だから、むしろ似合ってる。
乗り合わせてる人は、みんなルーフェイアに視線が1回は行ってた。やっぱり目を引くんだろう。
――イマドの苦労、なんか分かるな。
ルーフェイアが居ないとこでよくあいつ、ボヤいてる。自覚してない上に人疑わなくて、無防備で危なすぎるって。
そんなもんかなーって話半分だったけど、俺も確信。マジでルーフェイア、ヤバい。
いい年したオヤジが美少女好きとか、たいていは聞いたら引く。
あの配達屋の親父も悪気はないのかもしんないけど、世の中何があるか分かんないワケで。だから「美少女好き」なんて言葉が飛び出したら、たいていの子は警戒するもんだ。
なのにルーフェイアときたら、そういう反応はカケラもない。全く何も疑ってない。
そりゃ人を信じるのは悪くないけど、信じすぎるのも問題だ。
「あれ……何?」
「え?」
急に話しかけられて、心臓が駆け足になる。二人だけとか、なんかまだダメだ。
「えっと、あの建物」
「あぁ、図書館」
ルーフェイアの瞳が輝いた。
「本、いっぱいありそう……」
「100万とか聞いた」
ホント俺、ぶっきらぼうな言い方しか出来なくて情けない。
ただルーフェイアのほうは、それどこじゃないっぽい。お菓子見つけた小さい子みたいに、瞳がきらきらしてる。本が大好きだから、行きたくてしょうがないんだろう。
「今度、来る?」
「うん」
ルーフェイアはうれしそうに返事したけど、実際にはもう2人で来る機会なんて、ないだろなーと思う。
古物商の件が済んでから来てもいいけど、俺的にはしたくなかった。
なんたってルーフェイア、いつだって周りはお付きが満載だ。だから今日みたいな幸運、もう二度とないはず。
だったらまだ時間も早いし、図書館なんて辛気臭いとこじゃなくて、公園なんかへ俺的には行きたい。