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真相(侯爵令嬢ルシア視点)

===(本編の数日前)====


「はわわ、いつ見てもルイス様の姿は素敵だわ」


ここは私の自室である。

私が宙に浮かんだ魔法鏡に映るルイス様を見て、幸せな気分でゴロゴロ転がっていると、

メイドのアンがやってきた。

「お嬢様、また、ストーカーみたいなことをなさっているのですか。控えた方がよろしいかと」

「失礼ね、アン。私はルイス様の婚約者なのよ。ですからストーカーではありませんわ」

「婚約者でストーカーって殿下もお可哀想に・・・」私がみると、アンは涙を拭く仕草をしていた。小さい頃からの付き合いだから、最近はこんな感じで芝居がかったことをするのよね。


「でもほら、婚約者の姿を見たいと思うのは普通のことじゃない?」

「お嬢様、恐れながら、殿下の自室に盗撮用の魔法陣を仕掛けておくのは普通ではありません。しかも以前は着替えも見てましたよね」

「ナンノコトダカワカラナイワ」私が着替えを盗み見ていたなんて、なんてことを言うのだろう。ただ、着替えているルイス様も素敵だった。うむ。


「生徒会室や部活の部屋など学園の各所にも・・・」

「自室に戻らない時間の姿をどうやって見ると言うのよ。基本よ基本」

私は普通のことだと力説した。

メイドのアンはため息をつくと、部屋の掃除をし始めた。


しばらくアンが掃除しているのを眺めていたが、そういえばと思い出した。

「ねえ、アン」

「何でしょうか。お嬢様」

「あのピンク髪の正体分かったわ」

アンは、掃除の手を止めると、こちらに顔を向けた。ふふふ、思った通り驚いた顔をしているわね。

とても良いわ。


「あの男爵令嬢プリシア様ですよね。何人ものスパイが探りに潜入して行方不明になっています。どうやったのですか?」そう、父の配下のものに探らせたけど、全然結果が出なかったのよね。男爵家レベルが備えていて良いレベルじゃないと父が頭を抱えていたわ。


「ふふふ〜。本当にうまーく隠しているけど、魔力の残滓が少しだけ漏れていたからそれを分析したの」

「お嬢様ってルイス様以外のことでは本当に天才ですよね」

「ふふふ、それほどでもあるわ。ってあれ?これいま褒められたよね?」

「もちろんでございます、お嬢様。それで正体は?」


私は、もう一つ魔法鏡を作り出すと、情景を移し出した。

「これは・・?魔王城?」

「そう。なんか闇っぽい感じがしたので、魔王城に入り込んで色々魔力の残滓を採取していたの」


アンが頭を抱えている。

「我が国の軍は、魔王城どころか魔王の領域に入るのさえ厳しかった気がするのですが、それを魔王城ですか・・・。どんだけ化け物なんですかお嬢様」

「アン、私一応あなたの主人のはずなんだけど、化け物扱いはどうかと思うわよ。で、色々採取した結果一番近いのがこれ?」

私は、魔法鏡の情景場所を操作して別のところを映し出した。見るものの正気を失わせるような禍々しい雰囲気を出している椅子が映った。


「これは、これはまさか魔王の?」

「そういうこと」


アンは顔を真っ青にしている。気のせいか体もガクガク震えている。

「信じられません。魔王が王都まで潜入してくるなんて。すぐに当主様にお伝えして対策を」


私は、アンが慌てて出て行こうとドアを開けたのを魔法の力で閉めた。

「その必要はないわ。今動かれると台無しだから」

「え、だって魔王ですよ」

「それよりも見たいものがあるの・・・」

自分でも頬が赤くなっているのがわかる、恋する乙女ってやつよね。


アンは私の方を見てため息をつくと、嫌そうな顔をして言った。

「それで。お嬢様は何が見たいのですか」

「なんか冷たくない?」

「お嬢様がこんな表情をする時はロクなことがないので」


「なんていうことをいうかしら。常に私は、ルイス様がおもしろ・・・こほん・・かっこいいところを見たいだけなのに!」

「はいはい、それでお嬢様は何を見たいのですか?」

「ルイス様が私に対して、婚約破棄って叫んでいるところ!」


アンは目を大きく見開いて、唖然とした。

そして、しばらくフリーズした後、混乱した顔で口に出した


「お嬢様は、殿下がお好きだと思っておりました」

「えっ、もちろんルイス様のことが世界で一番大好きよ?」

「ではどうして?」

「もちろん、婚約破棄されたいわけじゃないの。ルイス様が婚約破棄を叫んで誰にも相手にされていないところが見たいの。きゃっ。口に出してしまったわ」

私は恋する乙女のように、頬を赤くして話しているのに、アンはなんだこいつドン引きだという顔をしていた。


=====(本編の開始タイミング)====

ルイス様がピンク髪と一緒に壇上に向かったのを見ると、私は急いで魔法陣を発動させ、遠隔の魔法陣からキングドラゴンに向けて魔法の矢を放った。無視できないレベルの強さだが、傷がつかない程度に調整した魔法だ。


案の定、ドラゴンは怒り狂って、誰がやったのか探し出した。私はドラゴンにわかるように、竜語で声を届けた。あえて、魔力の痕跡をたぐれる用に甘いセキュリティで。

「間抜けなドラゴンさん、私がどこにいるのかわからないみたいね。ほほほほほ」


すると、私の目論見通り、ドラゴンは私の魔力の痕跡を探って、王都に向かってきた。

良いわ。どうやら、王都の防衛部隊も検知したようね。


あとは、レミ川に注がれる雨の量を増やしてっと・・・。恋する乙女は忙しいわ。

「なんてことを・・・」

アンが隣でなぜか死んだ目をしているのは気にしないことにした。


するとついに私の望んでいた光景が始まった

「この私、アスタール王国の第一王子であるルイスは宣言する。・・・・」


きゃーきゃー。私の心の中は、今興奮で大暴れしていた。

ああ、ルイス様、騙されていると知らずピンク髪の言うことを信じて力説しているわ。

なんて、可愛らしいの、でもキリッとした表情も素敵だわ。

ふふふ、自分が世界の中心と思っているのよね。いいわ。とても良いわ。


パーティ会場に設置した10ヶ所の魔法陣から別角度で撮影もしたから、

あとで自室でゆっくり鑑賞ね。


あ、ルイス様が、みんなが自分の話を聞いていないことに気がついたわ。

ああ、混乱しているルイス様も良い。


さて、ルイス様にはドラゴンを倒してもらわないといけないわね。

私はルイス様に近づくとこっそり伝えた。

「殿下、モンスターを倒せば続きができますわよ」


すると、ルイス様はそれだ!と言う感じで飛び出すと、

魔法を放った。ドラゴンは消滅した。


うんうん、ルイス様の魔法キレイなのよね。


さて次ね。

アンがこちらに寄ってきた。

「お嬢様、もうやめましょ」

「まだよ。まだルイス様成分が足りていないの」

「お嬢様ーーーーー」

アンは涙目だが、仕方ないのだ。恋する乙女は、わがままなのだ。


ルイス様が再び壇上に上がって、叫んだ。

「この私、アスタール王国の第一王子であるルイスは宣言する。・・・・」


きゃーーーー。良いわ。今度こそという決意に溢れた顔。

私に向けて大きな感情を向けているルイス様、怒った顔も可愛すぎる。ラブだわ!!


そして、同じようにルイス様が気がついたので、教えてあげたのだった。

もちろんルイス様がワープする先にも魔法陣を設置してある。


川の水を移動させるルイス様。この程度で何?くらいの顔をしているのも良い。


そしてルイス様が帰ってくると、皆がルイス様を褒めたてえていた。

ふふふ、当然よ。私のルイス様だもの。


計画通り、隠蔽魔法が切れたわね。ふふふ、これでピンク髪を追い払えるわ。


ルイス様は、再び壇上に上がったが、まだ叫ばない。

どうやら、2度もあんなことが起きたので警戒しているみたいね。その表情も素敵だわ。

録画録画!


私がルンルン気分で眺めていると、防衛部隊がピンク髪の正体に気がついた。

そして、ピンク髪は自白し、魔法を繰り出した。


アンはもう座り込んで、目に涙を溜めて

「もうだめ、無理。お嬢様助けて・・・」と口をパクパクさせていた。


アンの姿に満足した私は、またルイス様の近くに行くと、対処方法を教えた。

そしてピンク髪の魔法は消えたのだった。


腰が抜けたアンを立たせると、私はアンにこっそりいった。

「さてここからがフィナーレよ」

「お嬢様。もう勘弁して下さい」

「大丈夫よ。ここからは良い話だから」


怯えているアンに向けてにっこりと微笑んであげたと言うのに、

アンはジト目でこちらを見た。

「・・・。お嬢様でも、これが悪いことだって気がついていたのですね」

「こほん、まあ見ていなさい」


そしてルイス様に近づくと、あらかじめ国王陛下から頂いた結婚許可の話をお伝えした。

ルイス様は頷くと宣言した。

「この私、アスタール王国の第一王子であるルイスは宣言する。私は、侯爵令嬢ルシアと結婚する。彼女は国母となり、我と共にこの王国を発展させていくことだろう」


ルイス様から、結婚の宣言が出たわ。嬉しくて昇天しそう。

アンはもうこの主人嫌だ・・・・と言う目で見ていたが・・・・。


=====

そんなわけで私はルイス様と結婚したのだった。宮殿の自室でお茶を飲みながら

両思いの二人。とても良いわ。と口に出していると

アンが変なことを口走った。


「お嬢様、私、殿下が少しかわいそうになってきました・・・」

「あら、こんな素敵なお嫁さんができて、ルイス様も幸せだと思うわよ」

「ソウデスネ」


私は、魔法鏡に映し出されているルイス様の映像を見ながら、

これからもルイス様のかわい・・・かっこいいところをもっと見ようと思ったのだった。

というわけで、婚約者の方がもっとヤバいやつだったという話でした。

ん?こんなところに魔法陣が・・・・(そのあと作者の行方を知るものはいない)

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