今更ながら打ち明けたい
2クール目の抗がん剤点滴が一旦終了。あとは5日後の抗がん剤点滴を残すのみ。まあ、転移が消えなかったら3クールめ突入だけど……。
ぐったりと下痢は相変わらずだが、ドデカミンとクーリッシュでカロリー補給するようになってから、少しマシな気分になった。久々にシャワーを浴びる。
さっぱりしてから、千歳とビデオ通話した。調子を聞かれたりなんだりしたあとで、千歳が言った。
『そういや聞こうと思ってたんだけどさ』
「何?」
『お前、いつからワシのこと好きだったんだ? 一目ぼれはありえないだろ?』
それは……確かに、あのお化けに一目惚れは相当の上級者でないと無理だが。しかし、こんなこと言うのも照れくさいな。
「恥ずかしいな……なんというか、二段階あって」
『二段階?』
「もう自分の気持ちに嘘つけないな、ってなったのは、千歳が核の人の姿から戻れなくなって、俺にくっつかせてくれないって泣いて、俺がそんなことないよって抱きしめたとき」
『あの時!?』
「なんていうかね、あの時まで俺、千歳のことぎゅっとするの避けてたんだよ。こんなに良くしてくれて好意が持てる人を抱き締めたら、もう結婚する気なんて持てないと思って。案の定だった」
『そうだったのか!?』
「でも、自分で自覚してなかっただけで本当はもっと前から好きだったと思うよ。あのさ、千歳が女子大生くらいの女の子になって迫ってきたことあったじゃない?」
『家探ししてもエロ本がなくて問い詰めた時か?』
「そうそう。あの時、ここでセックスしちゃったら、もう他の人と結婚する気なんてなくなっちゃうと思って拒否したんだけど、それってもう好きってことだよね」
『マジか……え、何年前だ……?』
目をまんまるくする千歳に、俺は告げた。
「3年前の今ごろだね」
『あの時から!?』
「うん」
俺は、思いついて言った。
「そうだ、ついでに言っとこう。前、千歳が手違いでモテモテになっちゃっただろ?」
『あれ、お前だけは大丈夫だったな』
「別に全然大丈夫じゃなかったと思うよ」
『へ?』
「もうすでにすごく好きだったから、だから術がかかっても、いつもと変わらない状態になってたんだと思う」
『ええー!?』
千歳はびっくりした。
「まあ、だからなんだってわけじゃないけど、タネ明かし」
『そうだったのか……』
千歳は口ごもり、それから言った。
『……あのさ、misskeyで宇宙猫っていうのよく見るんだけど』
「うん?」
『今あの猫みたいになってる』
「マジか……」
そんなに理解し難いのか……? 千歳にとって恋愛感情は、そんなにも理解しづらいのか……?




