番外編 金谷千歳の克己
毎日見舞いに行ってるけど、和泉はどんどん痩せてつらそうになっていく。和泉の前では泣かないように頑張ってるけど、家に帰ると涙が出る。
ぬか漬けを育てて気を紛らわせようとしてたけど、それだけじゃ治まらなくて、頼まれてない分の組紐も作り出してしまった。
ちょっと前まで、和泉と花見に行こうって話してたのに、それどころじゃなくなっちゃった。桜は咲いてるのに……。
何か面白いもの見て気を紛らわせたかった。だから、狭山先生にLINEで聞いてみた。
『和泉がつらそうで、ワシも泣きそうなんです。でも和泉の前で泣きたくないんです。見てて悲しくならなくて、気が紛れるような面白いアニメ教えてほしいです』
「そうですねえ……料理漫画好きですか?」
『好きです』
「じゃあ、とんでもスキルで異世界放浪メシとか、衛宮さんちの今日のごはんとか……現実から離れたかったら、トリコとかもいいかもしれませんね」
『探してみます、ありがとう』
買い物の時に星野さんにも聞いてみた。
『和泉が大変そうで見ててつらいんだ、でも和泉の前でつらそうな顔したくないんだ。気の紛れるような、見ても悲しくならない映画教えて』
「じゃあ、コメディ映画ね。テルマエ・ロマエとか、古いけどホーム・アローンとか……デトロイト・メタル・シティとか、俺たちフィギュアスケーターもいいかもね」
『ありがとう、Amazonとかで見てみる』
教えてもらったアニメや映画を早速流した。視界の下半分で組紐を作りながら、視界の上半分で画面を見る。
頑張って気を紛らわそう、ワシが潰れちゃいけない、和泉を支えるのはワシなのに、ワシが潰れちゃいけない、そう唱えながら。




