番外編 金谷千歳の落ち込み
和泉がいないと、ずっと家に一人。
気分が落ち込むから、最初は和泉がいないときしか食べられないものを作って食べようしてた。揚げ物とかカレーとか洋菓子とか。でも、食べてくれる人がいないと料理しがいがなくて、料理しなくなっちゃった。
和泉の見舞いの帰りに、気晴らしに好きなものを爆買いして爆食してみたりした。サーティーワンアイスクリーム12個とか、ミスタードーナツ20個とか。でも、そういう風に食べたものは全然おいしくなくて、でも食べないと組紐づくりができないから、べそべそしながら甘い物ばっかりやたら食べてる。昨日なんて、病院の売店でお菓子全商品買って食べてしまった。おいしい味なのにおいしく感じなかった。
ワシがMisskeyにいきなり料理をあげなくなったから、雁ヶ音さんが心配に思ったらしい。「最近いかがですか?」とDMが来た。
ワシは、雁ヶ音さんに事情を説明した。説明しながら、涙がボロボロ出た。
「そんなことになってたんですか……」
『それで、友達に「和泉さんが一番つらいんだから和泉さんの前でべそべそしちゃダメ」って言われたんですけど、頑張ってるんですけど、和泉つらそうで、そしたらワシもつらくて。いなくて寂しいし、料理する気力なくなっちゃって、お菓子ばっかり食べてるんです……』
「そうでしたか……ううん、でも千歳さんが体調崩したらダメですよ。つらいとは思うけど、ちゃんとしたもの食べてください」
『はい……』
「そうだ、ぬか床でも育ててみませんか?」
『ぬか床?』
「今から育てたら、きっとスプにゃんさんが退院した頃いい感じになっいい感じになってますよ。要は目標です。スプにゃんさんが元気になって退院してきたときに食べさせてあげるのを目標に、ぬか床を育てるんです」
『そうですか……』
うーん、和泉のために作るなら、ちょっとは気が紛れるかも……。
「スプにゃんさん、きっと治りますから。乳酸菌は免疫力高くなりますし、スプにゃんさんが退院してきたら、おいしいぬか漬け食べさせてあげましょうよ」
ワシは、久々に和泉に食べさせてあげることを考えて、別の意味で涙が出た。
『ぬか買ってきます……』
「うん、これからのほうがずっと長いんだから、これからのこと考えてください。あと、無印良品の発酵ぬか床おすすめですよ」
『買ってみます……』
無印良品、この辺にもないか調べよう。それで、ぬか床を買って、和泉が退院する日を目標に、たくさん野菜漬けよう。




