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子々孫々まで祟りたい 〜転んで祠を壊しちゃったら怨霊が子々孫々まで祟りに来たけど「俺で末代」と言ったら怨霊が困り始めて子孫を残させようと奮闘しだした件について〜  作者: zingibercolor・種・がくじゅつてきあかげ
23シーズン

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こんな時点でバレたくない

 やっぱり朝吐き気が強い。吐き気が日々増していくような気がする。朝食は食べられなかった。

 今日も抗がん剤を入れられる。吐き気止めも入ってるから、お昼は食べられるように祈るばかりだ。

 点滴つけてると行動範囲が狭いけど、動けるうちにシャワー浴びようと俺はシャワー室に向かった。

 病院のお風呂は共用である。シャワー室複数、浴槽付きが2室。

 お風呂に入りたい人はどうしても夜に集中してしまうので、病院側はそれを避けたいらしい。なので決まりとして、日中はシャワー室を40分使っていいけれど、夕飯後は30分しか使えなくなっている。急かされたくないので、俺は日中シャワーを浴びることにしているわけ。

 点滴部分をカバーしてシャワーを浴びる。入浴後、脱衣室に体重計があるのに気づいて、パンツ一丁で測ってみたら、3kg減って52kgになっていた。まずいな……。

 お昼は頑張って食べたが、やっぱり微妙に吐き気があり、そんなに食べられなかった。味覚障害も出てきていて、あんまり味が感じられない。病院食で薄味なのもよくないと思う、売店に調味料あるかな?

 お昼のあと売店で醤油やソースやふりかけを買い込み、病室に戻ってぼんやりしていたら、千歳がお見舞いに来てくれた。後ろに南さんを連れている。


『調子どうだ?』

「お二人の相談役しておりますので、近況をぜひお伺いしたく」

「ああ……副作用で吐き気がありますけど、それ以外はまあまあやってます」


 食べられてないことは、言えなかった。頼らせてもらうとは言ったけど、やっぱり千歳を心配させたくなかったから。

 でも、千歳はすでに心配そうだった。


『吐いちゃったりしてるのか?』

「それはしてない」


 まだしてない。これからはどうかわかんないけど。


『なんかやせちゃった気がする』


 バレた。


「まあ、その……頑張って食べるから」

『食べたいもの、何でも持ってきてやるぞ?』

「うーん……ちょっと、食べたいものとかじゃなくて、あんまり味を感じられなくて……醤油とかふりかけでなんとかできないかなってやってる感じ」

『そっかあ』


 南さんが千歳に聞いた。


「毎日病院にいらしてるんですか?」

『うん、心配だから』


 おっ、話題が変えられそうだぞ。俺は乗っかることにした。


「おかげさまで気が紛れて。時間あるときは、一緒に売店行ったりしてます」

『昨日行ったんだ! 品揃えすごかった』

「千歳、帰りにあそこでおやつ買って帰れば?」

『んー、そうしよっかなあ』


 南さんは俺たちをしみじみと見て、「素晴らしい……」と声を漏らした。何がそんなに素晴らしいんだ?

 南さんは、咳払いをしてから言った。


「あ、いえ、お二人が変わらず仲良しで安心しました。がん治療、費用かかりませんか?私どもの方で補助できますが」

「いえ、吸血鬼の王様がくれたお金とかユニコーンの時のお金とかありますんで、その辺りは大丈夫です」

『ワシが払ってもいいんだぞ?』

「俺のお金で払えるって。千歳のお金は千歳が必要な時に使いな」

『じゃあ、そうするけど』


 それから南さんに困ってることはないか聞かれたが、吐き気と味覚障害と食べれてないことは相談してもどうにもならないし、俺は特に何も言わなかった。

 すぐに面会時間は終わってしまって、千歳は南さんを連れて名残惜しそうに帰っていった。

 夕飯は醤油とふりかけまみれにして食べて、味は少しマシになったけど、やっぱり吐き気で半分しか食べられなかった。それを見た看護師さんに提案された。


「ちょっとだけ飲めばカロリーとれる栄養飲料とかゼリーとかあるんですが、そういうのを毎食つけましょうか? 明日の朝から対応できますよ」

「お願いします……」


 千歳を心配させたくない。何とかして食べる量を増やさないといけない。

 翌朝の朝食では、100mlで200キロカロリー取れるというメイバランスなるものとプロテインゼリーが出た。メイバランスはなんとか飲んだものの、吐き気でそれ以上はとても手がつけられなかった。

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