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子々孫々まで祟りたい 〜転んで祠を壊しちゃったら怨霊が子々孫々まで祟りに来たけど「俺で末代」と言ったら怨霊が困り始めて子孫を残させようと奮闘しだした件について〜  作者: zingibercolor・種・がくじゅつてきあかげ
23シーズン

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これから子種は作れない

 精巣腫瘍治療の抗がん剤の、確実な副作用。それは、精子が作れなくなるということ。

 それを知ったときから、ただひたすら転移がないように祈ってた。無駄な祈りだった。

 千歳は先生にすがりつくように言った。


『こ、子供できなくなるって、そんな、そんな、こいつ子供一人もいないんですよ!?』

「抗がん剤を使わないと、確実に死に至ります」

『そ、そんな、そんな……』


 多分千歳の中で、俺に死なれたくない気持ちと俺に子供を残してほしい気持ちが大激突を起こしている。千歳の至上命題は、俺に子孫を残させて、子々孫々まで祟ること。それができないなら? 千歳は一体どうなってしまう?

 俺は大きく息をついた。千歳が納得してくれるかは分からないが、一応の救済策を調べてはあるのだ。


「先生。その、精子を保存しておけると聞いたのですが」


 先生は頷いた。


「そうですね、今のうちに精子の凍結保存をおすすめします。顕微受精……人工授精になりますが、それなら子どもが望めますので」

『そうすれば大丈夫なんですか!?』


 千歳は飛び上がった。


「保険適用外ですし、保管料がずっとかかるので、費用はかかりますが」


 千歳は俺に飛びついた。


『和泉! ワシ金出すから! すぐ保存しよう! いっぱい保存しとこう!』

「まあ……その……千歳が望むなら……」


 俺が千歳を好きでいる限り、精子を凍結しても、使うことはないだろう。

 でも、俺が無精子症にならなければ、他の人と子供を作れという千歳の言葉を、もう少しのらりくらりかわし続けられるはずだった。がん経験者で無精子症なんて、結婚は非常に困難だぞ? 千歳はそれに気づいてるのか?

 千歳は、今度は先生に聞いた。


『精子ってどうやって取るんですか?』


 先生は気まずそうな顔をした。


「まあ……普通に取ります」

『普通に?』


 千歳は首を傾げた。


「その、男性なら皆やっているやり方で……」


 そう、自慰! 千歳は気にしないだろうが、先生的にはすごく気まずいだろう。20歳そこそこの女の子に説明しろと言われたら、俺だって尻込みする!


「えー、その、詳しくはご本人に聞いてください」


 こっちに投げないでくれ!


『和泉に?』


 千歳は不思議そうだったが、俺が言葉に窮していると、そのうち『あっ』と言った。


『ああ、普通にシコるのか』

「はっきり言わないでよ!」


 先生と俺の努力が!

 先生は咳払いして言った。


「うちの病院は産婦人科もやってますので、そこで採取と保存が可能です。頼むなら同じ病院が楽ですよ」

『じゃあそうします』

「スケジュールとしては、来週半ばにまた入院です。帰る前にここの産婦人科の予約入れて、月曜に精子を採取するといいでしょう」


 俺は先生に聞いた。


「どれくらい入院しないといけませんか?」

「経過によります。和泉さんだと最低2クール……抗がん剤の治療セットをこなすのを1クールと言って、1クール3週間ですが、それを最低2回ですね」

「じゃあ、6週間……」


 長いな……そんなに休んで、クビになったりしないだろうか?

 先生はさらに言った。


「ただし、それでも腫瘍が残る場合は1クールずつ追加します。それと、抗がん剤は白血球がすごく減りましてね、それがある程度増えるまではやっぱり入院です。2クールで済んでも、プラスして何週間かは入院です」

「そうですか……」

「それと、退院したからってすぐに仕事復帰できると思わないこと。一ヶ月か二か月は見てください」


 じゃあ、最低でも3ヶ月は見ておいたほうがいいのか……そうか……。


「……会社に相談します」

「勤めてらっしゃるなら傷病手当出ますからね、大丈夫ですよ」


 確かに手当はないよりある方がいいけど、俺が心配なのはその後だよ。仕事あるかどうかだよ。

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