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子々孫々まで祟りたい 〜転んで祠を壊しちゃったら怨霊が子々孫々まで祟りに来たけど「俺で末代」と言ったら怨霊が困り始めて子孫を残させようと奮闘しだした件について〜  作者: zingibercolor・種・がくじゅつてきあかげ
23シーズン

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まさかがんだと思わない

 泌尿器科で、「左の睾丸だけ硬くて大きいんです、でも痛くないし腫れてる感じでもないんです」と告げると、お医者さんの顔色が変わった。


「すぐ触診とエコー検査します、CTも取ります」


 そ、そんなに大ごとなの!? いや、そう言えばがんかもしれないんだった! 玉のがんとかあるの!?

 恥ずかしかったが、寝台に寝てお医者さんの前で局部を出し、両玉を探るように揉まれた。


「大きい方、触られて痛くありませんか?」

「まったく」


 お医者さんは険しい顔つきになった。


「次、エコーです」


 局部に冷たいジェルを塗られて、妊婦さんの検診で使うような機械で両玉をぐりぐりぐりぐりされる。ここまでぐりぐりされるとさすがに怖いけど、左玉に腫れて痛いような感じはまったくない。

 CTも取る。下半身だけかと思ったら、全身撮られた。

 すべてが済んで、一度待合室に戻る。千歳(二十歳のすがた)が飛んできた。


『どうだった!?』

「まだ検査終わっただけ、診断結果はこのあと呼ばれる」

『ワシも聞く!』

「うん」


 俺は全身CT取られたのが気がかりだった。がんって確か……転移ってあるよな? 玉ががんなだけじゃなくて、他もがんなのか?

 それからまたお医者さんに呼ばれ、俺と千歳は診察室に入った。


『先生! どうなんですか!?』

「おそらく精巣腫瘍です」


 精巣腫瘍? 俺は先生に聞いた。


「それって……がんってことですか?」

「そうです。精巣腫瘍は進行が早いので、すぐに摘出が必要です。紹介状を書きますので、駅前の大きい病院に月曜に絶対行ってください。絶対ですよ」

「摘出って……手術ですか!?」


 玉取るの!?


「そうです。治療の流れとしては、まず腫瘍がある方の睾丸を摘出します。それから転移がないか調べて、転移があれば化学療法や放射線照射で治療します」

「化学療法って何ですか?」

「抗がん剤のことです」

「抗がん剤……」


 年始に千歳が『お前がハゲて痩せこけた初夢見た』という趣旨のことを言ってたのを思い出す。抗がん剤って……毛が抜けるよな? そのこと!?

 千歳は真っ青になっている。先生はさらに行った。


「こちらでCT撮りましたので、紹介状につけておきます。転移があったら化学療法になります」

『い、和泉死んじゃうんですか!?』

「精巣腫瘍は、進行は早いですが生存率は高いです。すぐ治療すれば9割近く生存しますよ」

『1割以上死ぬんですか!?』

「とにかくすぐ治療をしなければいけません。お会計時に紹介状をお渡ししますので、絶対に月曜に駅前の大きい病院に行ってください」

「は、はい……」


 俺は理解が追いついていなかった。がん!? 本当にがん!? しかも転移の可能性も!? 手術!? 抗がん剤治療!?


『そんな……そんな……』


 千歳のうめきで、俺ははっとした。千歳に心配かけちゃいけない、俺がしっかりしなきゃいけない。


「千歳、とにかく月曜に病院行くから。午前半休取って行ってくるよ」


 お医者さんが言った。


「大病院はとにかく待ち時間が長いので、1日仕事です。丸一日休み取ったほうがいいですよ」

「わかりました」

『治る? 治るのか?』


 千歳はまた泣きそうだ。


「病院のいうとおりにすれば大丈夫だから。治るって」


 迅速に治療すれば大丈夫。俺は、とにかくその言葉を信じるしかない。



 ○o。..。o○



 泌尿器科からの帰り。千歳がずっと泣きそうな顔をしているので、俺は慰めた。


「大丈夫だって、治るって、千歳が早く見つけてくれたからさ」

『でも、でも……』

「すぐ大きい病院につないでもらえたから、大丈夫だよ」


 千歳は不安げに俺を見上げた。


『お前、なんでそんなに落ち着いてるんだ?』

「現代医学を信用してるから」

『そんなにすごいのか?』

「すごいよ、だから安心して」

『うん……』

「とりあえず会社に連絡する。入院に必要そうなものも調べてまとめとくよ」

『うん……』

「大丈夫だから」


 俺は千歳の背中をなでた。

 帰って、とりあえず会社に連絡する。直属の上司は萌木さんだから、萌木さんに。返事代わりに、すぐ電話がかかってきた。


「大丈夫!? 精巣がん!?」

「はい、なんかそうみたいで……摘出手術必要で、転移してたら抗がん剤治療も必要って言われてるんですが、どれくらいかかるのかもまだ分からなくて、とりあえず月曜は大きい病院に行くので休みとります」

「玉取っちゃうの!?」

「片方だけですけど」

「あ、そうか、片方は残るのか、よかったあ……」


 去勢手術みたいなこと想像してたっぽいな、これ。そう思っていると、また聞かれた。


「また心霊関係でひどい目にあったってこと?」

「いえ、それとは完全に別件だと思います。むしろ心霊関係は助けてくれたほうで……千歳が心霊パワーで気づいてくれたんです」

「そうなんだ、役に立つこともあるんだ……とにかく、先のことが決まったらすぐ教えてね、こっちとしてもしっかり治してほしいから」

「はい、ありがとうございます」


 とりあえず会社へはこれでよし。あとは……月曜に大きな病院に行くばかりだ。

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