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子々孫々まで祟りたい 〜転んで祠を壊しちゃったら怨霊が子々孫々まで祟りに来たけど「俺で末代」と言ったら怨霊が困り始めて子孫を残させようと奮闘しだした件について〜  作者: zingibercolor・種・がくじゅつてきあかげ
21シーズン

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911/918

仲が良くても発展しない

 日曜日。俺の紹介で鹿沼さんと錦くんを会わせることになった。鹿沼さん側は両親も心配してついてくるとのこと。

 俺がセッティングした会食の席には、錦くんが先に来た。


「あの、お久しぶりです」

「お久しぶり、ごめんねいきなり呼んじゃって」


 千歳が錦くんに笑いかけた。


『おひさ!』

「あ、あ、千歳さん、その、会えてうれしいです!」


 錦くんの頬が少し赤くなった。こりゃ錦くんは千歳を諦めきれてないな。まあそれなら見合いや結婚に気が進むわけがないので、会食の意向には合ってるけど。

 鹿沼さんが両親を連れて来て、俺に「こんにちは!」と声をかけた。


「こんにちは」

『こんにちは!』


 鹿沼さんは千歳を見て目を丸くした。


「えっ!? 千歳さん!? だいぶ感じ変わってません!!」

『これが真の姿だ』


 千歳は胸を張った。


「そうなんですか……?」


 鹿沼さんは恐る恐る千歳を眺め回す。そう言えば、鹿沼さんが前千歳と会ったとき、千歳はゴツいヤーさんの格好だったな。俺は説明の必要を感じた。


「一応これが千歳の真の姿。でもほかにいろんな格好にもなれるし、この格好の大人バージョンもある」

「へええ……」


 鹿沼さんのお父さんも、前に千歳ヤーさんのすがたと会ってたので驚いていたが、千歳が至って普通に接するのでひとまず納得してくれたようだった。

 鹿沼さんのご両親ともひと通り挨拶し合って、俺たちは席についた。鹿沼さんの母親が普通に見えることに、俺はささやかながらホッとした。

 錦くんは大人に囲まれてちぢこまっている。俺は錦くんに声をかけた。


「大丈夫だから。ここにいる皆、錦くんと意見同じだから」

「は、はい……」


 飲み物と料理が運ばれてきて、俺たちは改めて自己紹介しあい、錦くんと鹿沼さんの意見を確認した。見合いなんて考えられないこと、結婚なんてなおさら考えられないこと。

 鹿沼さんはホッとしていたし、鹿沼さんの両親はなおさらホッとしていた。


「まだ16の子にお見合いなんて考えられませんからねえ……」

「錦くんが嫌って言ってくれて本当に良かった……」


 錦くんは少し打ち解けて、愚痴りだした。


「うち親がはっきり断ってくれないんですよ、早すぎるとは言ってくれましたけど、結婚はしたほうがいいとかこの業界では若いうちのほうがいいとか言ってて。自分たちが見合いでうまく行ってるから子供もうまくいくと思ってるんです」


 鹿沼さんが興味深げな顔をした。


「じゃあ錦さんの親は若いうちに結婚したんです?」

「二十歳で結婚してますね。で、21で兄、22で僕を産んでます」

「はっや!」

「まぁ夫婦仲はいいんですけど……」


 錦くんは複雑な顔をした。


「その、実は今度妹が生まれるんですよ……」

「ええ!?」


 そ……それはだいぶ仲がいいな!?

 俺は錦くんに言った。


「それはおめでとう、16歳違いになるの?」

「はい……まあ、仲悪いよりはいいんですけど……」


 おめでたいことだけど、思春期には扱いが難しい事柄ではあるわな……。

 千歳が錦くんに『おめでとう』と言った。


『妹の名前もう決めてるのか?』

「うーん、候補は出してるんですけどまだ決まってなくて」

『顔見なきゃわかんないか』


 鹿沼さんが錦くんに言った。


「でも私はまだ全然お見合いも結婚もしたくないし、2人で全力で嫌がりましょうね!」

「そうですね、全力で嫌がりましょう!」


 2人が息の合った団結を見せるので、千歳が吹き出した。


『仲良しじゃん』


 俺は苦笑して言った。


「仲良くても、恋愛に発展するかは別問題だからねえ」

『ふーん』


 仲良くても恋愛に発展してくれない相手がいるからな、今まさに俺の隣に。

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