二人でもっと嫌がりたい
金曜の夜。夕飯もお風呂も終わってのんびりしていると、鹿沼さんから久々にLINEがあった。前に生霊から悪霊になった女の子である。
「お久しぶりです、ご相談があるんですけどいいですか?」
「どうしたの? 困りごと? 受験シーズンなのに」
「あ、推薦で受かったんで別に忙しくないです。忙しくないから困ってるんですけど」
「どういうこと?」
「受験終わってるなら、お見合いしないかってしつこく言われてて、朝霧錦さんって人と」
「錦くんと!?」
鹿沼さんは中1をやり直してるから学年は下だけども、錦くんと同い年ではある。うわ、素質のある人ばっかりくっつけて子供産ませようとしてるんだ、怖!
鹿沼さんからまたLINEが来た。
「和泉さん、朝霧錦さんと知り合いなんですか?」
「知り合いだね、千歳のほうがもっと知り合いだけど、いやでも早くない!? お見合い!?」
「若いうちに親しくなったほうがみたいに言われて、困ってるんです」
「そりゃ困るよね、でも断ってるんだろ?」
「でもしつこくて」
「錦くんの方も気が進んでないと思うから、ちょっと確認してみるよ。多分周りがくっつけたがってるだけだ」
春に千歳に一目惚れした後大失恋したような子、まだまだ結婚じゃなくて恋愛がやりたいだろう。
千歳に事の次第を話すと、千歳は『まあ、素質的にはアリな組み合わせだな』と言った。
『ちょっと前まで女は16で結婚できたしなあ、青田買いしたいのかも』
「とにかく錦くんに確認してみてよ」
『うん』
千歳はスマホをいじり、しばらくして顔を上げた。
『見合いの話来てるって。でも周りが言ってるだけで、錦くん困ってるって』
「やっぱりそうか」
『ワシ、なんか発言権あるみたいだから、二人とも嫌がってるんだからやめとけって緑さんに言っとこうかな』
「そうしてくれると助かる」
俺は再び鹿沼さんにLINEした。
「錦くんも嫌だってさ。千歳が朝霧家にやめとけって言ってくれるけど」
「それ、どれくらい効果あるんですか?」
「うーん、不明。後は俺が鹿沼さんに錦くんを紹介するくらいしかできない。お互い嫌なら、協力し合って嫌がるのもありだと思うけど」
「そういうことなら、ちょっと会ってみたいです」
「わかった」
錦くんに鹿沼さんの意向を伝えると、「じゃあ僕も会ってみたいです、2人で嫌って言い合いたいです」と返事がきたので、俺は急遽2人を会わせるセッティングを組むことになった。




