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子々孫々まで祟りたい 〜転んで祠を壊しちゃったら怨霊が子々孫々まで祟りに来たけど「俺で末代」と言ったら怨霊が困り始めて子孫を残させようと奮闘しだした件について〜  作者: zingibercolor・種・がくじゅつてきあかげ
21シーズン

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別の意味でも仲良くなりたい

 南さやかさんと峰水香さんが俺たちの近況を聞きたいとのこと。千歳と一緒にいつもの個室の喫茶店に行って、4人で話した。

 近況を話し終わり、俺たちは一息ついた。


「まあ、先日の件は早く気づいたので無事でした。対策も講じましたし」

『それなりにいろいろあったけど、ワシら大丈夫だぞ』


 俺たちが一通り話すと、南さんは頷いた。


「それはよかったです、本当に。私たちの方も、個人的なことですがご報告がありまして」

『なになに?』

「私、金谷司さんと籍を入れまして、金谷さやかになりました」

『え!? おめでとう!』


 そっか、なんやかんやでくっついたのか、南さんと金谷司さん。

 俺は南さんに言った。


「それはおめでとうございます。……あれ?私たちってことは、水香さんも何か?」


 水香さんはいつもの無表情で言った。


「安定期に入ったので言うのですが、妊娠していまして。今5か月です」


 千歳は目をまん丸くしたし、俺も驚いた。


『えー! おめでとう! えっもっと早く言ってくれればよかったのに!』

「妊娠初期はどうなるかわからないので、安定してから言おうと思ってまして」

『とにかくおめでとう! 予定日いつだ?』

「6月の20日ですね、まあ初産なので遅れる可能性が高いですが」

『わー! 楽しみ! 赤ちゃん生まれたら写真見せてくれよ!』


 はしゃぐ千歳と、思わず水香さんのお腹を確認してしまう俺と。身近に妊婦さんがいたことあんまりないから、どう対応していいかわからないな……とりあえずおめでとうだけ言っておこう。

「おめでとうございます。何事もなく生まれるといいですね」


 南さんが水香さんを見た。


「梅香ちゃんと同じ頃に生まれるのよね」

「そうですね、同じ誕生日になったら面白いんですが」


 梅香? 名前の語感からして、水香さんの姉妹?


『梅香さんって、水香さんのきょうだいか誰かか?』


 水香さんは頷いた。


「姉です。佐和家の跡取りで……ちょっと変わった感じで妊娠してまして」


 佐和は水香さんの旧姓である。


『変わった感じ?』

「結婚はしてなくて、精子提供で妊娠しています。上の子達も精子提供で生まれました」

『えー、今はそんなんもあるのか!』


 俺は思わず「いや、今でも稀だと思う」と言ってしまった。結婚してて不妊で精子提供がされることはままあるが、未婚かつ精子提供で産むは相当覚悟決まってないと無理じゃないか?

 水香さんは「割と稀ですね」と言って、言葉を続けた。


「まあこの業界、早く結婚してたくさん子供作れの圧が強いんですけども。姉はどうしても結婚したくなくて、「子供は産むから結婚は勘弁して」と言い張って、精子提供で子供を産むことになったんですよね。今回で三人目です」

『へえー……』

「はあー……」


 それはそれで覚悟が決まりすぎててすごいな。いや、でも跡取りってことは実家住まいだろうから、ご両親もいるだろうし子供の面倒は見てもらいやすいか。

 あと、ひとつ疑問がある。子供作るにしても、心霊業界は生まれ持っての素質、血を重視する傾向を感じている。誰の精子でもいいというわけではないのでは?

 俺は水香さんに聞いた。


「精子提供元ってあったんですか?」

「一応。跡取りで揉めないよう、すでに子供のいる人にお願いすることにして、素質と合わせて合致する人が朝霧秋太郎さんしかいなかったので、ずっとそちらにお願いしています」

「朝霧秋太郎……」


 どっかで聞き覚えのある名前だな、と思って、次の瞬間記憶が接続した。


「え、朝霧春太郎さんのご兄弟ですか?」


 あの最悪の話しか出てこない人の!?


「弟さんですね、それで、朝霧錦君のお父さんです」


 千歳も意外そうだった。


『そんなつながりがあるんだ』

「朝霧春太郎さんからも精子提供の申し出があったんですが、妊娠を確実にするために精子の検査しますねって言ったら前言を翻したんですよね」

『うわあ……』

「うわあ……」


 カスだなあ……和束ハルのパワーアップの元になったり、和束みやびの子供工場の種になったり……霊力しかすごいところがない……。

 千歳が首を傾げた。


『じゃあ、梅香さんの子供って錦くんの腹違いの兄弟なのか』

「遺伝子的にはそうですね。法的にはしっかりやってるので、秋太郎さんからの相続は錦くんと兄の薫くんだけですが」

『へえー』


 俺は感想を漏らした。


「まあ、その辺はしっかりしといたほうが揉めませんよね」


 錦くんのいい子さといい、揉めないよう準備してることといい、朝霧秋太郎さんはそれなりにしっかりした人らしい。兄に似なくてよかった。

 南さんが言った。


「こちらはこんな感じです。お二人も、これからも仲良く協力し合っていてください」

『うん!』

「仲良くやらせていただきます」


 俺は微笑んだ。千歳が南さんに言った。


『和泉な、もっとワシと仲良くなりたいんだって。これからも、もっと仲良くなれるかもしれないって』


 確かにそう言ったけど! 人に打ち明けられると照れくさいな! 俺の言う、もっと仲良くなるは、千歳に俺の気持ちが万が一通じないか、という気持ちも含むけども!

 南さんはなぜか息を呑み、「……素晴らしい……」と絞り出すように言った。そんな感銘を受ける言葉?

 水香さんが南さんをつついた。


「さや姉、しっかりして」

「はっ! ごめん! で、では、お二人とも、ありがとうございました」

「いえ、それでは失礼します」

『失礼します! チョコサンデーおごってくれてありがとな!』


 喫茶店を出て2人で歩く。空気はきりりと冷たく、その中を歩くのは心地よい。

 俺は、千歳の横顔をふと見た。

 千歳ともっと仲良くなれたら。友愛や親愛的にももちろん仲良くなりたいけど、恋愛的に仲良くなるのは、やっぱり無理があるのかなあ……。

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