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子々孫々まで祟りたい 〜転んで祠を壊しちゃったら怨霊が子々孫々まで祟りに来たけど「俺で末代」と言ったら怨霊が困り始めて子孫を残させようと奮闘しだした件について〜  作者: zingibercolor・種・がくじゅつてきあかげ
第20シーズン

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ループ世界は無理っぽい

 千歳は普通に朝ごはんの支度をしているが、俺は昨日と違うことをしたくて外に出た。すると、郵便受けに何か入っていることに気づいた。手紙だ。

 宛名も何もない手紙を開くと、こう書いてあった。


「永遠に年を取らず、永遠に死なない。心地よい一日が永遠に続く。お前たちが何もしなければ」


 ……和束みやび!? そうか、毎日同じ明日が来る、こういうループ世界が彼女の望みなのか!

 しかし、ね。そうは言っても、このままだと千歳の大好きなチョコミントの新商品が出ないんでね。

 俺は手紙を握りつぶした。足早に家に戻る。和束みやびの使える魂は、5体プラスアタリの子。本当にループする世界を作るには足りない。何かでインチキしてないか?

 ふと思って、俺は玄関先で腕をつねってみた。……痛みを感じない。ということは、これは夢だ。じゃあ、千歳も俺の夢のなかの住人? いや、それだったら俺の願い、俺の千歳への好意を受け取ってくれる千歳に変わるんじゃないかと思うし……本物な気がする。

 玄関に上がると、千歳が台所から出てきた。


『どうした? 置き配でも来てたか?』

「あの……千歳、変なこと聞くけど……」

『なんだ?』

「この3日くらい、同じ日を過ごしてる気がしない?」

『同じ日?』


 千歳は怪訝な顔をし、そして味噌汁の鍋を見た。


『……なんかさあ、ここ3日同じカブの味噌汁作ってる気がするんだよなあ、なるべく毎日違う味噌汁作るようにしてるのに』


 俺は思わず千歳の両肩を掴んでしまった。


「千歳もそう思う!? 俺ずっと変だと思ってたんだよ!」

『お、おう』


 微妙に面食らってる千歳に、俺は届いていた手紙を見せ、この3日ずっと1月10日だと話した。和束みやびとの関連も。


「でも、腕つねっても痛くないし、夢の中かもって思うんだよね」

『お前、宇迦之御魂神さまと閻魔大王様のお守りがあったから気づいたのかな?』

「そうかも」


 千歳は顎に手を当てて少し考え、そして言った。


『じゃあさ、お前がワシの爆発防いだやつ試してみないか?』

「ああ、俺のお守りに千歳の指入れて祈るやつ?」


 千歳が和束ハルの企みで爆発しかけた時、千歳は俺の手首のお守りに指を入れ、俺が「千歳の害は俺の害です!」と念じることで難を逃れたことがある。


「やってみようか」

『うん』


 俺の手首に巻いてあるお守り。手首とお守りの間に千歳は指を入れた。


『なんかの助けになるかもしれないから、お守りに霊力たっぷり流すな』

「うん」


 俺は目を閉じ、「千歳の害は俺の害です!」と念じて叫んだ。


   .。o○ ○o。.


 ……俺は目を覚ました。傍らで千歳も目をこすっている。スマートウォッチの日時は……1月12日。


「ああ、やっぱり夢……」

『出てこれたみたいだな、ワシら……』


 千歳は大あくびしながら言い、そして『あ!』と何かに気づいたようだった。


『そう言えば鈴の音がしたんだった!』

「え? あ、そう言えば俺もなんか聞いた気がする」

『眠くて寝ちゃったんだけどさ、ワシの手首につけてる鳴子の鈴さ、寝てる時に聞いた気がする!』

「あっ、千歳が狙われたときに鳴るやつ!?」


 千歳が俺にお守りを作ってくれたとき、そんなのを作って千歳も身に着けていた。すっかり忘れてた。

 いきなりスマホの着信音がして俺は驚いた。枕元の千歳のスマホが鳴っていた。


『なんだなんだ』


 スマホを取り上げる千歳。金谷さんの大声が聞こえてきた。


「ご無事ですか!? 何もありませんでしたか!?」

『あったけど無事だ』

「どういうことです!?」

『えっと、なんかあったのか?』

「4体目についてた術式! 4体目と縁があった人の場所を知らせるやつだったんですよ! 和束みやびにお二人の場所がバレたかもって!」

『あー、うん、今5人目が来てる』


 千歳が玄関先を見やる。そこには、黒い玉が浮かんでいた。


『捕まえるからあとで電話するな! じゃ!』


 千歳はお腹に手を入れて守り刀を引き抜き、突進してくる黒い玉を腰だめで受け止めた。


『悪いな、痛いけど我慢してな、すぐ楽にしてやるから』


 千歳は黒い玉に守り刀を突き立て、切れ目に手を入れて、術式が書かれているらしき紙を引き抜いた。黒い玉は真っ赤な嬰児に戻り、泣きながら千歳の手に抱かれた。


『よーしよし、いい子だ。おい、和泉、あの小箱持ってきてくれ!』

「オッケー!」


 俺がすぐに棚から小箱を取り千歳に差し出すと、千歳が受け取った瞬間に嬰児は白い玉になり、小箱に吸い込まれていった。

 千歳は、安心したようにため息をついた。


『あー、なんとかなった……』

「えーと、俺たちが夢見せられてたのはこの5人目の子の霊力ってことかな?」

『多分な』


 千歳は小箱をなでた。


『ていうか丸一日寝てたのかワシら! 道理で腹減るわけだよ!』


 そう言われて、俺は自分の喉がカラカラなのに気づいた。


「ちょっと水飲んでくる……千歳もいる?」

『いる!』


 2人で思うさま冬の冷えた水を飲んで、人心地つき、千歳が朝ごはんを作る間に俺が金谷さんに事の次第を連絡するということで話が決まった。

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