猫又事情難しい
帰りはまた久慈さんが車で送ってくれた。俺と千歳は、さっきの情報をすぐ金谷さんにLINEし、日報にも書こうと話し合っていた。
『手がかり何とか増えないかなあ?』
「この手がかりで連鎖的に増えたらいいけどねえ……」
2人で話し合い、連絡や今後の相談先について話し、一段落つき。千歳が、ふと久慈さんに話しかけた。
「そういえば、あのユキって子も猫又なのか?」
「そうです。あの子が人間年齢で10歳のころ、飼い主の夫婦が離婚しちゃって、行き場がなくて困ってるところを私が預かったことがあって」
親が離婚したようなもんじゃないか……しかも、実の子じゃないとなると処理が面倒なことになるのでは?
俺が「それは、大変でしたね」と言うと、久慈さんは大きくため息をついた。
「なんかそのときに惚れられちゃって、それから10年ずっとあんな感じで……私としては娘みたいにしか見れないんで、断り続けてるんですけど」
「なるほど」
その年だと大人への憧れなんかもあるだろうからな。
「久慈さんが独身じゃなくなれば諦めるんじゃないですか?」
「当てがないですね……いや、結婚願望ないわけじゃないんですけど、猫又ってことを打ち明けて付き合える人なんて見つける自信なくて……」
千歳が首を傾げた。
『そんなん、あのユキって子なら心配いらないじゃないか』
「いやそれはそうなんですけど……」
『だから周りもくっつけたがるんじゃないか?』
「まあ……そういう側面もありますけど……」
俺は、千歳を見て、俺は10年経っても千歳を好きな気持ちは消えないだろうなと思って、そして久慈さんに言った。
「まあ、ユキさんの気持はきっぱり断るのが正解だと思いますけど、あと10年たってもユキさんにアタックされてたら流石に答えてあげるべきだと思いますよ」
「ええっなんでそんな!?」
「20歳から30歳までずっと気持が変わらないなら、それは本物ですよ、責任取ったほうがいいです」
「私何もしてませんけど!?」
千歳が腕組みした。
『和泉のほうが正しい、あと10年経って変わんなかったら諦めてくっついてやれ』
「そんなあ……」
「まあ、ユキさんの心変わりを祈りましょうよ」
「……帰りに初詣行って、賽銭に万札入れて祈ってきます……」
よっぽどだな。まあ、千歳に同じことやられても俺は心変わりしそうにないけど。




