番外編 金谷千歳と初夢
1/1から1/2にかけて見る夢が初夢なんだって。ワシは、いい夢が見れますようにって願ってから、布団に潜って和泉にくっついた。
でも、全然いい夢じゃなかった。
夢の中では、すごく痩せた和泉が病院っぽいベッドにいた。ワシは和泉にすがりついて泣いてた。和泉は髪もまゆ毛もまつ毛も全部抜けてて、でもワシはそれが和泉だってわかった。
『どうしてお前がこんな目に遭うんだ、お前はなんにも悪いことしてないのに、お前こそ誰よりも幸せにならないといけないのに……』
ワシは泣きながらそう騒いでいて、そして目が覚めた。
隣では、和泉がすやすや寝ていた。ちゃんと髪もまゆ毛もまつ毛もあった。
……なんだったんだろう?
悪夢は人に話せば正夢にならない、って前に和泉が言ってた。だから、朝に残りのお雑煮を食べながら『朝から悪いけどさあ、なんか嫌な夢見たんだけどさあ』と和泉に夢の内容を話した。
和泉は慰めてくれた。
「大丈夫だよ、話したから本当にはならないよ」
『うん……』
「でも、なんで夢のなかの俺ハゲてんの?」
『わかんない。でも毛が全部なくてもお前だってわかったんだよな』
「そっか……それは嬉しいけど……」
夢のなかの和泉は、単にハゲてるんじゃなくて、まゆ毛もまつ毛も全部抜けてた。ワシは、何が起これば体毛が全部抜けるなんてことになるのか、まるで知らなかった。




