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子々孫々まで祟りたい 〜転んで祠を壊しちゃったら怨霊が子々孫々まで祟りに来たけど「俺で末代」と言ったら怨霊が困り始めて子孫を残させようと奮闘しだした件について〜  作者: zingibercolor・種・がくじゅつてきあかげ
第20シーズン

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番外編 金谷千歳と長寿

 本白神社で藤さんや緑さんたちに現状報告する会があった。ワシ週報とか日報とか書いてるけど、たまには顔合わせたほうがいいって言われて。

 と言っても、みんなで週報の内容の確認して、藤さんにそれ関連で多少質問されだけで済んだ。


「怨霊くんは、魂一体に対峙したときどれくらい大変?」

『そんなに大変じゃない。でも封印した日はいっぱい食べていっぱい寝たい』


 和泉が補足するように言った。


「魂を見つけた日はたしかによく食べますね。早く寝ちゃうし」

「ふーん。完全にいつも通りとは行かないか。じゃあ複数同時に来たら流石に手こずるよね……」

『そういう時が和束ハルの強化術式の使いどころだなって』

「まあそうだね……気をつけて」


 話が一段落して、緑さんがワシに笑いかけた。


「本当にお疲れ様ね、また一緒にアフタヌーンティー行こうね」

『うん!』


 緑さんと後でLINEで予定すり合わせようって約束して、会はおしまいになり、ワシと和泉は社務所を出た。

 和泉が本殿の方を見ながら言った。


「ここちょいちょい来るけど、ここんとこちゃんとお参りしてないね、そう言えば」

『してくか?』

「してこう」


 本殿に向かい、でかい鈴を鳴らして二礼二拍一礼。


『何お願いした?』

「前と同じだよ、家内安全商売繁盛」

『もうちょっと色気出せよ』


 ワシは和泉をどついた。和泉は苦笑して言った。


「色気出すにも、基礎がしっかりしてないとじゃん」

『まあ、それもそうか』


 本殿から鳥居へ歩いていると、掃除してる人が狛犬周りの掃除に取り掛かってた。水香さんだけじゃ管理の手、足りないもんな。

 近くを通りかかったから、ワシはその人に挨拶した。


『こんにちは!』

「ああ、こんにちは! 緑さんの方の会はお済みですか?」

「うん!」


 和泉も「こんにちは」と挨拶して、それから狛犬の台に書かれた文字を見て、達筆すぎたのか首を傾げ、それから掃除の人に聞いた。


「この狛犬、何か言われあるんですか?」

「一応、この狛犬なでると長生きできるって言われてるんですよ。大したことじゃないですけど」

「へえー」


 和泉が何のためらいもなく手を伸ばして狛犬をなでたので、ワシはびっくりして固まった。


『お前、長生きしたいのか……』

「え、うん……できれば」


 和泉はちょっと驚いて頷いた。ワシは視界がうるむのを感じた。


『そっかあ、そう思うようになったのかあ、よかった……』

「えっ何、千歳俺早死にすると思ってたの!?」

『だって! 会ったばっかの頃はずっと顔色悪かったし、お前自分が生まれてこなきゃよかったとか思ってたし、その後も自分の命省みないし! お前その辺不安なんだよ!』


 和泉が、ふっといなくなっちゃうんじゃないか、って思ってた時期があった。和泉が「生まれてこなきゃよかった」と思ってたと知った時、ワシもワシの中身もたくさん辛いことあったけど、そこまで思い詰める奴はいなかったから、本当にびっくりした。和泉はどんなに辛かったんだろうって思った。その後、和泉は身を挺して、ワシの代わりに死ぬような痛みを経験したし、ワシのために命を捨てようとしたし……。

 和泉は慌てた。


「そ、それはごめん、でも長生きしたいよ今は」

『そんならいいけどさあ』


 ワシは鼻をすすり、安心してため息をついた。


『百まで生かしてやるからな』

「それはありがたい」


 和泉は、てらいのない笑顔で笑った。

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