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雪は好きだけど好きじゃない

 千歳と日課の散歩をしている。足元の落ち葉はカラカラに乾燥し、踏むと音がする。空は先月からずっと淡い青の冬空なのに、ここ数日でやっと寒さが追いついてきた感じだ。

 隣の千歳がぼやいた。


『今年、冬なのになかなか寒くならなかったな』

「暖冬だよねえ」

『じゃあ、今年は雪降らないのかなあ』

「どうだろうねえ……雪好き?」

『年に一回積もるくらいのは好きだ。いっぱい積もるのは嫌いだ、雪かきとか大変だから』

「そっか」


 ふと、千歳は雪の多い地域のことを知ってるのか気にかかった。


「千歳の中の人達って、雪国の人いるの?」

『結構いる。売られるような女子供なんて、寒村のが多いしな』


 あんまりさらっと言われるので、おれは胸が痛んだ。千歳の中には売られてきて江戸で死んだ子や、遊女の果てに死んだ女の人がたくさんいるのだ。


「そっか……その、もう寒い思いはしないといいね」

『今はみんなあったかくして寝てるぞ。でもさ、前から不思議なことがあって』


 千歳は首を傾げた。


「何?」

『信州生まれの奴が特に多いんだよな、それも同じ村とか、その近くの村とか。なんでだろう』

「へえ……」


 それは確かに、少し不思議だと思う。江戸なんて、いろんな地域の人が集まっただろうし、寒い地方なんてほかにもたくさんあるし。


「なんでだろうね。信州が故郷の人が供養の祠立てたとか?」

『それかなあ?』


 その時はそれで終わったけど、多分、この話はもっと追求しておけばよかったのだ。

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