表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

869/874

閑話 生成AI vs ファクトチェック

「内容は、ボロボロですね…」

「ボロボロだね……」

「ちゃんとした文章な分、よけい害悪というか……」

「何も知らなかったら頭から信じちゃいますね……」


 俺の属する会社、グリーンライトの面々でリモート会議をしている。GoogleМeetの画面越しでもわかるくらい、皆げんなりしていた。

 社で、SEO記事作成生成AIとでも言うべきものを検討してみたのだ。各自の得意分野で検索キーワードとニーズとペルソナを決め、それを元に生成AIに書かせる。そして、出てきたものを添削。

 そして全員げんなりした。出てきたのが、流れるように読みやすい文章なのに1から10まで誤解と誤りの産物だったからだ。この生成AIの売り文句は「書くのは生成AIに任せて市場調査に集中」だったのだが……。

 萌木さんが遠い目をした。


「デマばらまき機だよ、これは」


 言いたいことはわかる。こんなにきれいな文章で1から10まで誤解まみれのことを書かれたら、下手に検索キーワードに引っかかりやすい分、誤解や間違いが拡散してしまう。

 俺は答えた。


「ネットに関連情報がない分野ほどひどいですね。漢方の記事書かせてみたんですけど、多く出回ってる薬を上っ面なでただけで、後は誤解まみれ、症状ごと体質ごとがまるで書けてません。基礎化粧品についてはまだましなんですが、よく書けてるところは私が前に書いたことの丸写しでした」


 金融が得意分野の久慈さんが口を開いた。


「うちの方でもそんな感じだよ。ネットに出回ってる一昔前のことばっかりで、一次情報に食いつかないと分からない最新情報を全く反映してない。それに細かい間違い挙げたらきりがない」


 手元に資料を置いているのか、嬉野さんが視線を落として言う。


「構成も見出しも語解と間違いを前提にできてますから、構成案にも使えませんねこれ」


 俺は答えた。


「全くの同意です」


 萌木さんが天を仰いだ。


「なんかさ、プログラマーとかシステムエンジニアは生成AIガンガン使ってるけど、文章だと粗製乱造にも程があるよね?」

「粗製乱造で十分っていうなら使えばいいけど、うちでそういう商売やっていきたい?」


 久慈さんの問いかけに萌木さんは「やだ!」と答えた。

 嬉野さんが言った。


「生成AI文章のファクトチェックだけでとんでもない作業量ですよね」


 俺はふと思いついて言った。


「いっそファクトチェック引き受けていきます? 漢方と基礎化粧品ならやれますよ、私」


 久慈さんは「ああー……なるほど……」と考える目つきをした。


「どの分野でもできるわけじゃないけど、需要があるなら十分ありだね。私が金融ある程度できるし……萌っちはIT関係か。嬉野さんは健康と美容、特にコスメだよね」


 嬉野さんはいつも地味な見た目だが、書かせるとコスメの使い心地やいい使い方にとんでもなく詳しいのである。

 久慈さんが言った。


「まあ、私らのやれることはまだまだあるってことで……得意分野を磨いて、関連分野もできれば得意にして、で行きましょう」

「そうだねえ」

「そうですねえ」

「がんばります」


 にしてもこの生成AIはひどい。同じ生成AIでも、ChatGPTやGeminiをいじめ抜いた方がきっともっとまともなものができるだろう。

 粗製乱造VSファクトチェックか……後者の方が絶対手が遅い。不利な戦いだけど、なるべく誠実にやっていくしかない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ