手詰まりな理由教わりたい
ユニコーンの件が終わってから。今年も星野さんにみかんをもらったので、千歳と2人こたつで食べている。
なんとなく、閻魔大王様の件がなかなか進まないよね、という話になった。
『なんもないけど、なんも進んでないよな』
「そうだねえ、ユニコーンの角で呪いは解呪できるけど……」
『後は、あの子たちの遺骨の大きいやつが見つかればいいんだけどな』
「魂見つけて供養してあげたいよね」
『でも、遺骨見つかんないことにはなあ』
千歳は天を仰いだ。俺は聞いた。
「緑さんとか金谷さんとか、何か言ってなかった?」
『なんか、解呪の方優先して動いてたみたいだ。もちろん藁人形は探してたんだけど、ワシに何も話来ないってことは、魂引き出せる遺骨ないんじゃないかな』
「そっか……この件警察はもっと動かないのかな? 人骨出てるのに」
『なんか、緑さんが話せることは話したって言ってた。でも、お前のファンが突き止めたやつ、Amazonの住所とかネットスーパーの住所とかは言ってるやつが怪しいから参考にしてないって』
「そっか……あんまり散らばってるから、全国の警察が動かなきゃいけないしね……」
あんまり期待できそうにない。俺はため息をついた。千歳は言葉を続けた。
『人骨は見つかってるからさ、犯罪性ありとはなってるんだって。売ってたアカウントも調べるらしいけど、なんか、だいたい消されてるから……』
「あーそうか、俺が見つけて即つついたからか! うわー、やらかした!」
俺は思わず頭を抱えた。
『でも、被害を止めるのが先っていうのは確かにそうだって』
「そう言ってくれるとありがたいけど」
事態を進めたくて、俺はスマホで和束美枝さんのSNSアカウントをチェックした。けれど、投稿内容は日々のちょっとしたことばかりで、俺たちの役に立つことは書いてない。
「あっちに目立った動きはないなあ」
『和束美枝ってアタリの子の飯用意してるんだろ?その辺もなしか?』
「うん……そう言えば、和束美枝さんは生きてる子とどういう関わり方してるんだろう?」
美枝さんが面倒見るのは和束みやびがやらせないと思うし、アタリの子のご飯は作ってるけど顔を合わせてない、とか?
「うーん、ご飯作ってるのと、会ってないのとは両立しなくもないか……。ご飯作ってるけど、それ以外はやらせてもらってないとか? やってるなら3人目がいる理由ないもんね」
『ワシも和束美枝のアカウント見たけどさ、ちっちゃい子って見てるだけで面白いから、Twitterずっとやってる人だったら絶対その子の様子ツイートしてると思うんだよな』
「なるほど」
いい着眼点だ。
じゃあ、やっぱり会ってない可能性が高いかな。たぶん同じ屋根の下にいるのに、母子顔合わせてない……。
アタリの子、やっぱり監禁されてるんだろうな、千歳の核の人みたいに。
千歳が閉じ込められてた場所を思い浮かべる。暗い中、一人ぼっちで。
君も一人ぼっちなの? 一人でずっと、暗い中過ごしてるの?




