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ちゃんとやってると伝えたい

 仕事も暮らしも落ち着いたので、おばあちゃんと父親に引っ越し終わったことを伝えようと思う。まずはビデオ通話でおばあちゃんに伝えた。

 画面の中のおばあちゃんは、相変わらず血色が良く、元気そうだった。


「久しぶり、元気?」

「元気よお」

「よかった、こっちはこないだ引っ越したよ」

「まあまあ、あのステキな家?」


 おばあちゃんは両手を口に当てた。


「うん。新しい住所LINEで送っとくね」

「まあまあ、ありがとう。暮らしはどう?」

「楽しくやってるよ、引っ越しもおまかせパックで楽ちんだったし」

「千歳さんと仲良くやってる?」

「うん、仲良し仲良し」


 俺が笑いながら頷くと、千歳が横から入ってきた。


『バッチリ仲良しです!』

「本当にねえ、豊ちゃんのことありがとうねえ」


 おばあちゃんは笑った。とりあえず、俺たちが元気にやってるとわかってもらえてよかった。

 次に、父親にメールで連絡した。


「引っ越したよ、住所は横浜市港栄区磯子町6-3-5」


 すぐ返事が来た。


「千歳って子が買ってくれた家か?」

「そう」

「お前、あの子といつ結婚するんだ?ずっと一緒に暮らしてるなら責任を取らないといけないんじゃないか?」


 そ、そういう心配が来たか……。

 迷ったが、俺は千歳との関係を正直に伝えることにした。


「俺と千歳、恋愛関係じゃないよ。ただの同居人」

「待て、同居人なだけでお前一生一緒にいたいなんて言ったのか?」


 もっともなツッコミ!


「一生一緒にいたいけど、千歳は恋愛が分からないから同居人以上になれないだけ。なれて親友かな」


 悲しい話だ。

 父親からはまたすぐ返事が来た。


「じゃあ、お前の方は千歳さんが好きなのか」

「その辺は黙秘する」

「好きなんだな」

「黙秘。そっちはどう?」

「なんとかやってる。そう言えば宅配の冷凍弁当頼んでる」


 俺の親は二人とも料理ができない。惣菜や冷凍食品に頼っていると聞いたから、体壊して俺に寄りかかられても困ると思って、栄養を考えた宅配弁当にしろと言ったのだ。素直に実践していたようで、俺は少しホッとした。


「うん、じゃあそっちもちゃんとやってね」


 やれやれ、これで連絡すべきところに連絡した。

 ……千歳とは、恋愛には発展しようがない。同居人以上の関係になれそうにない。よくて親友あたり。

 でも俺は千歳が好きだし……千歳が好きだから、同居人以上の関係に踏み込めないや。

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