表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

827/848

夢に思えど叶わない

 Discord経由で、俺は俺のファンに説教を入れておいた。

 恋愛関係でもなんでもない二人の子供と見紛う姿を作るのはグロテスクすぎるし、しかも片方は不妊で迫害された人なんだぞ、と。


「千歳がそういう方向に考えなかったから今回は許すけど、本当にこういうこと他の人にしたらダメだよ」


 悪意がないのはわかるけど、なんかズレてるんだよな。俺のファン、見た目と同じく10歳くらいの精神年齢なんじゃないか?

 すぐ返事が来た。


[本当にすまなかった、あなたは金谷千歳との子供を望んでいるのかと思ったんだ]

「無理なことを言わないでよ、いろんな意味で」


 千歳と子供は望めないし、千歳がそばにいてくれれば俺はそれで満足、だいたい千歳が色恋わからないから俺は好きだって気持ちも伝えられないのに、千歳と子供とか子作りとかは本当に千歳の前で言及しないで欲しい。

 そういう事を相手に伝えたら、また返事が来た。


[あなたは子供を持ちたいと思ったことはないのか?]


 子供ねえ。いたら、かわいいだろうとは思うけど……。

 俺は返事した。


「小さいころいろいろあって、自分は子供を作るべき人間じゃないと思ってたし、大人になってから少し考えは変えたけど、心底好きになってしまった人が子供を作れる人じゃないから、人生そういうこともあるよなって感じ」


 まあ、もしも千歳との子供授かったらめちゃくちゃ喜ぶと思うけど、ありえないことだから。


[聞き方を変えよう。あなたは子どもを育てる気はないのか?]

「養子ってこと?」

[一言でいえば、そうだ]

「うーん、千歳がそれで許してくれるかによるかな。でも許してくれそうにないからね」

[金谷千歳はあなたの直接の子供、そして子孫を祟ることにこだわっていると]

「そういうこと。うまくいかない」


 千歳と子育てか……暮らしが落ち着いたら、持ち家もあるんだし、ひとりくらい小さい子がいても……千歳はなんだかんだ言って小さい子の面倒見るの得意だし、俺だって子供は嫌いじゃないし……千歳と2人で小さい子と手を繋いで歩けたら……。

 いや、でも、千歳が俺の直接の子孫にこだわる以上、夢物語だ。


[立ち入ったことを聞いて済まなかった]

「別にいいけど、何かするときはもうちょっと考えてからしなね」

[肝に銘じる。あと、あなただけが入れるプライベートワールドを作ったから、後でフレンドリクエストを承認してほしい]

「わかった」


 とりあえず、こんなもんかな。

 しかし、俺と千歳の容姿、声は俺の小さな時の人か……俺と千歳が子供作れたらあり得たかもしれない姿、ねえ。

 あんまり作って欲しくないけど、かと言って消すのも惜しい気持ちがあるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ