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新居の具合見てみたい

 向かいに建てている新居の出来具合は順調で、早ければ秋に引っ越せるとのことだ。

 俺はあまり顔を合わせたことがないが、千歳は家の仕上げの職人さんたちと顔見知りで、買い物帰りちょくちょくお茶を差し入れているらしい。


『まだ仕上げだけどさ、職人さんがさ、昼休みに入って見ていいって』

「じゃあ見せてもらおうかな」


 そういう訳で、お昼ごはんの前に新居を見に行くと、新居から職人さんらしい気の良さそうなおじさんたちが出てきていた。千歳が彼らに片手を上げた。


『こんにちはーっ! 同居人連れてきた!』


 俺もおじさんたちに頭を下げた。


「どうも、こんにちは」


 おじさんたちは「おっ! こんちは!」と片手を上げ、言った。


「おおー、お嬢ちゃんの彼氏か!」


 は!? どういう風に伝わってんの!?

 千歳は何でもない風に言った。


『いや同居人だって、あとワシ女じゃない』


 おじさんたちは笑った。


「またまた」

『本当だって! あとこいつ彼女募集中だからいい人いたら紹介してくれ!』


 俺はあわてて千歳を止めた。


「募集してないから!」

『じゃあせめて嫁募集しろ!』

「ぜんぜん『せめて』じゃない!」


 職人のおじさんの一人が言った。


「もうお嬢ちゃんが結婚してあげるしかなくない?」

『だからワシ女じゃないって』

「でも男でもないんだろ?」

『そうだけど、こいつ好きな人いるし』


 ほっとくと話がどこに行くかわからない。俺は千歳の背を押して新居のドアの方に向かせた。


「その辺はもういいから! 中見せてもらおう!!」


 新居のドアを開け、入って中を見渡す。まだ壁紙は貼っておらず、コンクリや断熱材が丸出しだが、広く採光もいい。


「やっぱ、この広さだと一階だけで住めちゃいそうだな……」


 千歳が不思議そうにした。


『お前、自分の部屋いらないのか?』

「うーん、まあ、欲しいけども……」


 男だと、1人で済ませたいことがどうしても発生する。でも、それだけのために自分の部屋欲しいってのも言いにくいしな……。


「その、狭山さんとマダミスとかTRPGで遊ぶときは自分の部屋でやりたいかも」

『そっか。あとさ、エアコンつけないとまずいよな、各部屋に。リビングだけじゃなくて』

「うわーっ、そういう出費もあるのか!」


 俺は頭を抱えた。


『買ってやるよ、とりあえずリビングと和室とお前の部屋な』

「俺の部屋は自分で買うよ」

『全部買ってやるよ、その代わりどのエアコンがいいか調べてくれ』

「そう? どんなのがいい?」

『うるさくないやつ』

「オッケー」


 部屋の広さ別に買わないとな、リビング8畳、和室の寝室6畳、俺の部屋6畳ってとこか。工事も頼まなきゃいけないか……まあ、ネットで機種調べて駅ビルの電気屋で相談だな。

 この家で、千歳との暮らしを作っていくんだ。必要なものはしっかり選んで、これからも千歳と仲良く幸せに暮らしたい。

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断り方が尊い 和泉には好きな人がいるからが最初に出てくるのもう相思相愛では?
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