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番外編 朝霧緑から見た【大丈夫】

 色々やりくりして、やっとまとまった休みが取れたので、ホテルのアフタヌーンティーに千歳ちゃんを誘った。


「やっとミルクティーが飲める日取れたのよ……」

『お疲れ様』


 千歳ちゃんは慰めてくれた。そう、素質がなくなっちゃうから、私は仕事の日乳製品摂れないのよ、大好きなミルクティーは休みの日しか飲めないの。

 藁人形回収、呪いの札回収、藁人形の呪いの解呪で駆けずり回っていて大変だった。でも、これから藁人形も呪いの札も増えないとなったので、とりあえず一段落したのだ。

 私は、アイスミルクティーを味わいつつ言った。


「千歳ちゃんも、この間はお疲れ様。週報も、すごく助かってるわ」


 これはお世辞ではなく、毎週かなりしっかりした出来のが上がってきている。

 千歳ちゃんは照れ笑いした。


『へへへ、まあ和泉に見てもらってるからちゃんとしたのだと思う』

「あー、和泉さんのチェック済みなの……なるほどねえ」


 千歳ちゃんにとって、和泉さんは本当に大きな存在よね。和泉さんがいなければ、千歳ちゃんはここまでおだやかな存在にはならなかったし。それに、和泉さんがいなければ、和束ハルを打ち破るカギを手に入れられなかったわけで……。

 千歳ちゃんに和泉さんがついてれば、和束母娘のこともうまくいくかしらね? 和泉さんのファンとか言う不審人物の助けも、できればほしいし。

 私は、レモンマカロンを口に放り込んで、それから千歳ちゃんに聞いた。


「千歳ちゃん、和泉さんといて楽しい?」

『うん』


 千歳ちゃんはスコーンをかじって、それから答えた。


『あ、でも楽しいって言うよりは、安心とか、落ち着くとか、大丈夫って感じかなあ』

「大丈夫、かあ」


 なるほどねえ、大丈夫、なるほど……。


「そっか、千歳ちゃんは和泉さんがついてれば大丈夫なのね」

『うん!』


 千歳ちゃんは頷いた。


『でも、腕力とか、呪いをぶった切るとか、毎日飯作るとかは和泉が大丈夫じゃないところだから、そこはワシが頑張って大丈夫にするんだ!』

「そう……」


 そうか。和泉さんにも弱いところ足りないところはたくさんある。千歳ちゃんは、自分からそれを補いに行きたいんだ。

 私は、千歳ちゃんに微笑んだ。


「そうね、千歳ちゃんと和泉さんは、一緒にいれば大丈夫ね」

『うん!』


 千歳ちゃんはサンドイッチを手に取り、そして言った。


『あとはさあ、和泉がいい人と結婚して子供作ってくれればもっと大丈夫になるんだけどさあ』

「そ、それは……個人のタイミングだからね……」


 和泉さんは、千歳ちゃんとそういう仲になりたいのよ……千歳ちゃんがその辺ものすごく疎いから、気持ちを伝えられてないだけで。

 まあ、その、二人の行く先が大丈夫でありますように。

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