表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

796/849

番外編 金谷千歳と発見

 草木も眠る真夜中。けたたましくスマホが鳴って、見ると和束ハルからの電話だった。


「悪い、夜中に!」

『なんだよお、寝てたんだぞ』

「すまん、うちの近くで丑の刻参りしたバカがおる! 例の藁人形かもしれん!」


 ワシは仰天して、一気に目が覚めた。


『あの藁人形!?』

「呪力は今なんとか捕まえとるけど、うちじゃ長く持たん! 助けて!」

『わっ、わかった!』


 電話切って、ワシは、一緒に起きちゃって寝ぼけ眼の和泉に頼んだ。


『本白神社ついてきてくれ!』

「な、何事?」

『あの藁人形で本白神社に丑の刻参りした奴がいるって!』


 和束ハルんちは本白神社の空いた土地、確かに近くで丑の刻参りできる!

 和泉は驚いて目が覚めたみたいだ。


「の、呪い飛び出てる!?」

『呪力今捕まえてるけど長く持たないから来てくれって!』

「わ、わかった、行こう」


 2人とも寝間着のTシャツ短パンのまま、スマホだけ持って神社に走った。境内に入ると、和束ハルの声がする。


「こっち! こっちや!」


 本殿の裏、和束ハルんちに回ると、和束ハルが下半身のヘビ伸ばして、お札持って、黒い靄を捕まえてた。高千穂先生が下半身のヘビに両手で触れて、なけなしの霊力を注いでる。


『今やる!』


 ワシは腹から守り刀を取り出して、袋を開けて鞘を払った。そして、黒い靄を思い切り切り裂いた。

 靄は、空気に溶けて消えた。

 和束ハルは、その場にへにょへにょとへたり込んでぐったりした。ワシは刀を鞘に納めて、袋に入れてまた腹に押し込んだ。


「あー、どうなるか思たわ……」

『捕まえといてくれて助かった』

「えらい呪力やったで、霊力がすごーて……うわっ!? 和泉豊!?」


 和束ハルは、今更ワシの後ろの和泉に気づいて飛び跳ねた。和泉は微妙な顔をした。


「別にとって食いやしませんよ。……ん?」


 和泉は首を傾げた。


「藁人形どこです?」


 高千穂先生が「あれです」と境内を囲む木を指さした。指さす方の松の木には、五寸釘に刺されたハンカチと藁人形。

 和泉はそっちに行きながら言った。


「これ、もしかしたら遺骨大きいんじゃないかな……」

『え、なんで?』

「すごい霊力だったんだろ、なら遺骨の体積もあるかなって」


 和泉は藁人形をつかみ、「抜かなくていいな、中身だけ取れれば」と揺さぶった。

 白い塊が落ちる。少しカーブを描いた、白い骨。前見たのより大きい。

 和泉はそれを拾い上げて、言った。


「和束さん。どうです?」


 和束ハルはつばを飲み込み、言った。


「……いけるわ。呼び出せるで、魂」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ