番外編 金谷千歳と大丈夫
狭山先生のおすすめの漫画読んだ。タイトルは【大丈夫倶楽部】。
主人公が自分の【大丈夫】を積み上げていく漫画。【大丈夫】は、たとえば散らかった部屋を片付けて軽く掃除する、定期入れに忍ばせたもしもの時の1000円、疲れた時にアイスにかけるたくさんのチョコスプレー。それをやれば【大丈夫】になること。そして登場人物たちが、それぞれの生命居住可能領域、つまり【大丈夫】を目指していく漫画。
ワシの【大丈夫】はなんだろうな? と考えた。買い物して冷蔵庫をいっぱいにしたときかな? 常備菜をたくさん作り置きした時かな? あとは片付けて換気して掃除機かけたときとか……最近は、週報が片付いたとき食べるチョコミントアイスも、かも。
そんな事考えながら寝て、翌朝起きていつもみたいな朝ごはんを作った。味噌汁、納豆、昨日の残りの焼鮭少し、梅干し。
和泉は、いつもみたいにうれしそうに味噌汁を飲んで言った。
「夏はナスのお味噌汁おいしいねえ」
『まあ、星野さんからたくさんもらったからな』
ワシも味噌汁飲む。うん、味噌がナスによく染みてて、いい出来だ。
『なあ、今日時間あったら出来てる週報見てくれないか?』
「うん、夜なら」
『ありがとう』
和泉が週報を添削してくれるの、すごく役に立ってるんだよな。和泉は頼りになる。和泉がいれば大丈夫だ。
そこまで自然に考えて、ワシはハッとした。
そうだ。これまで、和泉がいればなんとかなってきた。
そうか、和泉が一緒にいてくれるのが、ワシの【大丈夫】なんだ。
 




