国家権力は身内に甘い
高根さんから、首尾よく行っている旨のLINEがきた。
「いっちゃんね、和泉くん来るって言ったら楽しみにしてる」
「そっか、作戦成功しそうだね」
「私が無理やり会わせた形にするといっちゃん反発しそうだから、なるべく、なるべく、当日は、「早く来たからよかったらおしゃべりしない?」の空気でやってほしいんだけど」
「わかった」
「でも、妻黒の襲来はやっぱり心配で。ちょっと愚痴らせてくれない?」
「どうぞ」
「警察ってさ、本当に身内の犯罪に甘いんだよね」
「神奈川県警?」
「神奈川県警だけど、神奈川県警に限らないんじゃないかなって」
「なんかあからさまなことされたの?」
「何度相談しても馬耳東風だし、何度証拠持ってっても受け取ってくれないし……本当にダメ」
「何度もやったんだ」
そんなに稲口さんに心を砕いてるんだな、高根さん。
高根さんはげんなりしてるようだった。
「証拠は本当にたくさんあるのよ、診断書もケガの写真も。でも、全然役立てられなくて」
「そっか、大変だね……」
ひどい話だと思うが、国家権力に俺が何をできるわけでもないしな……。
だが、高根さんの集めた証拠は、後に思いも寄らない形で使われることになる。




