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今はとにかく会わせたい

 仕事も夕飯も終えたお風呂上がり、夜のまったりタイム。テーブルの座椅子でのんびりしつつ、スマホでSNS巡回してたら、珍しくスマホのキャリアメールにメールが来た。

 ……「高根桜です」という件名。え!? 確かに俺、高校の時からメールアドレス変えてないけど!?

 本文も、スパムメールではなさそうだった。


「本当にお久しぶり。今度同窓会やるんだけど、来ませんか?」


 俺は高校の時から、携帯を変えても連絡先はずっと引き継いでいる。それと照らし合わせても、確かに高根さんのメールアドレスからのメールだった。え? なんでいきなり?

 とりあえず、「高根さん? 本当に?」と返信した。すぐ返事が来た。


「本当に高根。メルアド変えてなくてよかった! 元気?」

「元気だけども、どうしたの?」

「今度の同窓会、どうしても来てほしいんだけど、来れない?」


 あ、父親が同窓会の案内来てたって言ってたな。


「ごめん、案内来たのは知ってるけど見てないんだ、いつやるの?」

「6/21、17時から横浜ベイホテル東急。参加費私持つから、ぜひ来てくれない?」


 うーん、いきなりの連絡でここまで言うからには、俺を同窓会にどうしても呼びたい理由があるのか?


「予定は空いてるけど、どうしても俺を同窓会に呼びたい理由あるなら教えて欲しい」

「いっちゃんに会ってほしいの」


 いっちゃんとは、稲口さん、つまり高根さんと2人でいつもきゃっきゃしてた女の子である。そして俺に告白してきて、俺が断ったから、稲口さんを好きだった柔道部男子が俺のことをぶん殴ったのである。


「稲口さん? なんで?」

「その、和泉君結婚してるとか彼女いるとかだったらあんまり頼めないけど、でも、いっちゃんに会うだけ会ってほしいの!」

「どういう事? えっ、今更俺に稲口さんの彼氏になれと?」

「彼女いる? 無理?」

「いや、いないし独身だけど」

「じゃあお願い、頼まれて! 同窓会で会うだけで全然構わないから!!」


 な、なんでそんなにいきなり。


「ごめん、どうして今更稲口さんと俺をくっつけたいかを教えてもらえないと、俺としては何とも」

「それはそうだよね、その、今のお互いの顔知りたいからLINEでビデオ通話とかできる?」

「ちょっと待って、今お風呂上がりだから、まともな服に着替える」


 俺が立ち上がって着替えに向かったので、向かいの座椅子でのんびりしていた千歳が『どうした?』と聞いてきた。


「その、高根さんからぜひ同窓会に来てくれってメール来て……LINEでビデオ通話しないかって言われたんだけど、今寝巻きだから着替えさせてって言ってさ」

『えっ、お前の初恋の人!?』


 千歳はとたんに色めき立った。


『口説け! 口説け! くっつけ!』

「いや、高根さんは俺と別の人をくっつけたいらしくてさ……」

『もう誰でもいいからくっつけ!』

「とりあえず着替えてビデオ通話するから」


 着替えて高根さんとLINEアカウントで繋がり、ビデオ通話を繋げると相手の顔が映った。

 俺の初恋の人が、当時の面影を残したまま素敵な大人の女性になっていて、俺は思わず胸を突かれた。


「お、お久しぶり……」

「うん、お久しぶり。元気そうでよかった」


 高根さんが笑う、高校の時俺が恋した笑顔と同じように。思わず胸が高鳴ってしまったが、俺は努めて気持ちを鎮めた。高根さんくらい素敵な人が彼氏いないわけないし、結婚してるかもしれないし、第一俺は今誰よりも千歳が好きだろうが!

 俺は、できるだけ冷静な口調で高根さんに聞いた。


「その、同窓会に行って稲口さんに会わなくもないけど、ひとまず理由を聞かせてくれないかな?」

「うん。あの、いっちゃんが自分から告白したのって和泉くんしかいないのね、和泉くんはいっちゃん的に特別なの」

「そうなの?」


 まあ稲口さんもかわいいし明るいし、言い寄る男は尽きないくらいモテるだろうが、別に俺は特別ではないだろ?

 高根さんはさらに言った。必死な顔だ。


「だからね、いっちゃんに和泉くんと会ってもらって、前のDV彼氏への思いを忘れさせたいの! ねえ、同窓会来てくれない!?」


 おい、話が物騒になってきたぞ!?

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