新居を楽しく迎えたい
朝散歩のたび、建てている家の建築の進み具合を確認している。今は家の外装がほとんどできたところだ。ベージュの壁、赤い屋根、ところどころに飾りのレンガ。なかなかかわいらしい家だ。
「だいぶ出来てきたねえ」
『でもこれから内装で、内装にだいぶ時間かかるって』
「そうなんだ」
内装も打ち合わせしたけど、大体はもともとの建て売り予定のものと同じにしたから、そんなに大変じゃないと思ってた。
『でも予定よりは早くできるかもって』
「そっか、引っ越しの準備も考えなきゃな」
『ワシ金出すからさ、前みたいに荷造り全部お任せのやつでやろう。あれは楽でよかった』
「そう? じゃあそうしようか、お言葉に甘えて」
『引っ越しまでにいらないものはなるべく捨てる、くらいでいいよな』
「そうだね、でも千歳そんなにかさばる物買ってる?」
『うーん、本と、棚と、あと服くらいかな』
「いるものばっかりじゃない?」
『そうだな……ていうか、お前もいらないもものそんななくないか?』
確かに、前の家に引っ越す時かなり処分したし、それ以降は時間的余裕がなくて増やさなかったし、退職してからは経済的余裕なくて増やさなかったし……千歳に出会ってからも、かさばるものは多少買ったけどいらないものは特にないし……。
「言われてみたら、あんまないな……」
『じゃあ余計なもの買わない、くらいでいいか』
「そうだね」
『でも、引っ越したら物増やしてもいいかもな。使える場所増えるし』
「そうだねえ」
これまでよりもっといい住環境で、これからも千歳と一緒に暮らせる。それだけで十分すぎるくらいだ。
……まあ、魂10体探しと、仕事は頑張らなきゃいけないけどね。




