閑話 古米古古米備蓄米
夕飯の時、千歳がお米を頬張ってもぐもぐしてから言った。
『お前、古米とか古古古米とか気にするか?』
「いや、違いがわかるほど高級な舌じゃないし」
備蓄米のことか。あんまりばらまかれると、有事の時大丈夫なのか心配になるが、家計としては安価な米は助かるからな。
『ふーん……味が悪くないなら買いたいけどなあ……』
千歳はまたお米を頬張りつつ、考え込むようだ。
「保存はきちんとされてるし、精米したてなんだろ? そんなに悪くないんじゃない?」
『えっ精米したてなのか?』
「備蓄米、玄米のまま冷暗所で保存してるんだって、精米すると劣化が早くなるから」
『あー、確かに精米するとな……じゃあ見つけたら買おうかな、備蓄米』
千歳は納得したように頷いた。
「もう近くのスーパーで売ってるの?」
『まだだな、カルローズ米ブレンドは売ってたけど』
「ふーん、まだ出回ってないか」
『星野さんはさ、押し麦でかさ増ししてるって言うんだけどさ……ワシは! 銀シャリが食いたい!』
千歳はぐっと握りこぶしを作った。
「お米好きだねえ」
千歳が疲れたとき、お米をたくさん食べさせるといいのも関係してるんだろうな。
「まあそんならお米はちゃんと買ってよ、高いのしか買えないなら食費追加で出すし」
『ありがとう』
千歳がお米大好きなら、好きなだけ食べさせてあげたいよな、物価高でもなんでも。
でも備蓄米にも限りがあるし、異常気象やらなにやらで、この秋のお米がやられないことを祈るばかりだ。




