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急転直下もわからない

 スイーツパラダイスにて。千歳は大喜びで山盛りのケーキやタルトやフルーツを何皿も平らげ、ついでにカレーと各種スパゲッティも山盛り平らげ、始終満足そうだった。俺はうれしそうにモリモリ食べる千歳を眺められるのがうれしくて、ビールなど頼んでしまった。


「へへへ、久々のお酒だ」

『浮かれてんなあ』

「パーッとやりたかったもん」

『それもそうだ』


 千歳は満腹、俺も満足。制限時間の100分はあっという間に過ぎてしまった。


「二人なら何かあっても対応できるし、また外食行きたいね」

『今度は米と肉たくさん食いたい!』

「じゃあ焼肉屋でも行こうか」


 そんなことを話しながら、ほろ酔いで浮かれて帰る電車の中。俺のスマホが震えた。


「ん? Discord? 通知だけにしてあるはずなんだけど……?」


 Discordを開いて、俺は酔いが覚めた。俺のファンを名乗る不審人物から、またDMが来てる!


[こんばんは、耳寄り情報を持ってきた。和束みやびとその娘について調べているそうだが、彼らの住所には居住実態がないよ]


 俺は反射的に返事してしまった。


「なんでそんな事がわかる」

[電気もガスも水道も基本料金しか払っていないからだ。住所を置いているだけだね]

「いやだから、なんでそんな事がわかるの」

[どれもネット上に使用データが上がっているからだ。嘘だと思うなら、現地に赴いて確認してみてほしい。あと、和束みやびはネットに接続していないけれど、和束美枝はおそらく普通にネットに接続している。彼女の名義の携帯キャリアがあって、それでインターネット回線も契約しているから]


 ……確かに、裏を取ろうと思えば取れる。しかしこの人、本当にハッカーか何かなのか? ていうかなんで俺が和束母娘のことに関係してるって知って……あ! 千歳が録音データメールで送ったからそれか!? それに、メールでもLINEでもさんざんそれ関係のことはやり取りしてるし!

 しかし、和束母娘の住所に居住実態がないのが事実とすれば、それはそれで重大な事態である。とりあえず、相手にはこう送った。


「居住実態の確認はしてみる」

[ありがとう。情報が入ったらまた連絡するよ]


 何を調べる気だよ……怖……。

 千歳は、スマホを見る俺の目の色が白黒してたのに気づいたらしい。『大丈夫か?』と声をかけてきた。

 今あったことを千歳に説明すると、千歳は目と口をまんまるくしたあとに『……日報に書くな』と言った。


「お願い……俺も金谷さんに今あったこと説明して、和束みやびの居住実態調べてくれって言ってみるよ」


 金谷さんへ速やかに情報共有すると、「ずっと留守って報告は上がってるので、もっと詳しく当たります」と返事が来た。

「電気メーターくらいは見られるはずなので、それが動いてなかったら信憑性は高くなります。不動産屋にもずっと留守で連絡が取れないくらいは当たれますから」

「わかりました、ありがとうございます」


 そうか、本当に居住実態ないのかもしれないのか……。

 俺のファンを名乗る不審者、一応、悪意はなさそうだし、俺の役に立とうともしてはいるみたいなんだよな。やることがあまりにも無法なだけで。無法なのが問題なんだが。

 一体、どういう人なんだろう?

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