二人で行くなら踏み込みたい
家に帰って、千歳に経緯を聞いてもらった。
怪しいことばかり言うが、誘導する行動はまともな占い師がいる。その占い師のお婆さんが、なぜか俺と千歳に会いたがっている。
『そんなことあったのかあ』
千歳は腕を組んで考え込むようだ。
「どういう人なんだろう?」
『うーん、話聞くと、素質があって野良の人って感じするけど』
「野良?」
『なんつーかさ、素質のある大体の人は所属あるし、家ごとに認知されてるんだよな、神社とか寺とか、何々家の人、とか』
「ああ……言われてみれば金谷さんも緑さんもそんな感じだねえ」
金谷さんは神社かつお祓い屋、緑さんは朝霧家の人でお祓い屋、狭山さんも金谷家の婿かつ緑さんの部下、南さんは尼さん、峰朝日さんも峰家という術師の家の跡取り認識、って感じだしな。
『野良っていうのは、そういう所属じゃない人のこと。占い師なんてさ、大体は人の悩み聞いて金もらうような仕事だろ? でさ、人の悩みって、たまにだけど心霊関係もあるからさ。人の話し聞くのがうまくて、素質もある人っていうのはそっち行くと思うんだよな、野良でやってくの大変だから』
「なーるほど……」
霊感があって所属のない人が選びやすい職業が、占い師、と。
『だからワシは、お前が行きたいならついてくけど、その占い師んち』
千歳は何でもないことのように言った。
「本当? ありがとう」
『危ないことしようとしてきたらぶっ飛ばすし』
千歳は力こぶを作る動作をしてみせた。
「千歳にぶっ飛ばされたらただじゃ済まないから、脅かすだけにしてね」
そういう訳で、俺は占い師の館、【波羅蜜の館】にメールで予約を取ったのだった。
 




