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できれば味方に引き込みたい

 井戸から上がると、さっきのメンツが全員集まっていた。緑さんが「和泉さん!?大丈夫ですか!?」と叫んだ。


「すみません、無事です!」

「千歳ちゃんもどうしたんですか!?」


 千歳は俺にもたれかかって爆睡している。


「あ、千歳は安心して疲れて寝ちゃってるだけです、ちょっと閻魔大王様に呼ばれてまして」


 藤さんが井戸から降り、緑さん達に頭を下げた。


「藤玄と申します、閻魔大王様の使いで参りました」


 緑さんは目を丸くした。


「藤……あっ、狭山くんの小説のお師匠さん!?」

「師匠ってほどのことはしてませんけど。和泉豊さんと金谷千歳さんに閻魔大王様から頼みごとがありまして、他の方々にも協力をお願いしたくてまいりました」

「閻魔大王!?」


 緑さんは驚き、隣にいた和束ハルも「本当に地獄からやったん!?」と騒いだ。


「詳しくは私から詳しく説明しますが……」


 藤さんはそう言いながら、爆睡千歳を苦労しておんぶの体制に持っていってる俺に顔をやった。


「怨霊くんは一旦帰ったほうがいいかな?」


 俺は返事した。


「そうですね、いったん家で寝かせてあげたいです」


 緑さんが駐車場の方を見た。


「えーと、じゃあ水香ちゃんに頼んで車回しますね、家まで送ってもらいます」

「ありがとうございます」


 俺は頭を下げ、藤さんが優しく言った。


「他の人への説明は俺からしとくから。怨霊くんが起きる頃に返事を聞きに行くよ」

「わかりました」

「それで、和束ハルさん」


 藤さんはいきなり和束ハルに顔を向けた。


「あなたにも、できれば協力してほしくて」

「うち!?」


 和束ハルは目を丸くした。


「術師として、あなたほどの人はいないですから」

「何や知らんけど、うちのこと信用してええんか? うち世界を壊そうとした大罪人やで?」

「高千穗樹さんと暮らす世界を守るためなら、あなたは何でもするでしょ?」


 藤さんがそう言うと、和束ハルは眉をひそめた。


「何や……厄介事?」

「厄介事ですね、世界を巻き込むかもしれないやつ」

「……話だけは聞くわ」


 和束ハルは、渋々といった感じで頷いた。うーん、確かに世界を巻き込む騒動になるかもしれないし、高千穂先生を絡めて説得するのはうまいな。

 そうこうしてるうちに、峰水香さんが来て車を回してくれて、俺はとりあえず家まで送ってもらって、頑張って千歳を布団に入れた。

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