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負担は2人で分け合いたい

 なんの変哲もない月曜のお昼。昼食のかき玉汁をすすっていたら、千歳がなんか深刻な顔で言い出した。


『なあ、今月からワシにも食費出させてくれないか?』

「どしたのどしたの」


 何があった?

 千歳はしょぼくれて言った。


『もうずっと米もなんもかんも高くてさあ、午前中の買い物で、今の食費じゃ足りないなって思ったんだけど、お前にばっかり出させてるの悪いから……』

「でも、千歳は俺が食費出してるからお供え扱いで強いんだろ?」


 俺が出した食費で千歳が食べるご飯は、千歳へのお供え扱いとのことで、そのお供えがあるから千歳はどんどん強い霊になっているとのことである。


『そうだけどさあ』


 千歳はかき玉汁のおわんの中を箸でいじいじした。


『貯金はさ、絶対ワシのほうがあるだろ』

「まあそれはそうなんだけど」


 家を買ったとはいえ、千歳の預金は4000万円以上残ってる。それに、千歳が九さんの家にいさせてもらった時作った組紐代で、千歳は今後5年で1億5千万の収入が確定しているのだ。


『ワシらさ、二人で暮らしてるんだし、ワシも多少払いたいんだ』

「その気持ちはありがたいけども……」


 俺は少し考え、そして言った。


「じゃあ食費は増やして俺が全部出すからさ、千歳はこれから電気代ある程度払ってくれない? それでトントンにしよう」

『それでいいのか?』

「うん。それならお供えは変わらずできるし、千歳にも生活の負担してもらえるじゃん」


 千歳の、生活費を負担したいって気持ちはありがたい。2人で暮らしてるんだから負担も分担したいって言ってくれる人であることは、本当にありがたい。


『じゃあ、ワシ電気代払う。いくら出せばいい?』

「食費増やす分と同額にしよう、食費いくら増やしたい?」

『5000円』

「じゃあ、千歳も電気代5000円払って」

『わかった。電気代って毎月いくらくらいなんだ?』

「うーん、季節によって全然違うんだよねえ。夏と冬はエアコン代で2万以上行くんだけど、春と秋は1万も行かない」


 冬はこたつ代も含むかな。冷暖房費って重いんだよな……。

 千歳は首を傾げた。


『均したら一万五千円くらいか。ワシもっと出したほうがよくないか?』

「別にいいよ、俺払えるし」

『でも使う電気代、2人でそんな変わんないだろ』

「それ言うなら、千歳には家買ってもらっちゃってるじゃん。電気代くらい俺に多く払わせてよ」

『うーん、じゃあ5000円にしとくか……』


 昼ごはん後、2人で食費と電気代の払い合いをしたのだが、単に5000円札を交換するだけになってしまった。


『まあ、お前の5000円だっていうのはお供え的には重要だからさ』

「意味ないわけじゃないよね」


 二人で暮らす、負担を分け合って暮らす、それだけで十分だ。願わくば、二人一緒の暮らしが、これからもずっと続きますように。

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