番外編 金谷千歳の何でもない日々
昼飯の他人丼をもりもり食べてたら、和泉に聞かれた。
「今月さ、食費足りてる? 追加しようか?」
あー、ワシが仕事の後腹減ってめちゃくちゃ食べてるからな……足りないとは言いたくないけど、正直ちょっと米の消費が激しいんだよな……。
『……その、米代がもうちょっと欲しい』
「いくら?」
『三千円あればなんとかなる』
それくらいあれば、とりあえず今月の米は大丈夫だ。和泉は「わかった」と頷いた。
「じゃ、あとで渡すね。この頃お米高いんだってね」
『そうなんだ、しかも10キロを売ってくれないんだ』
「え、そうなの!?」
『販売制限って言って、5キロしかダメなんだ』
「うわー、マジか……」
和泉は心底驚いてるみたいだった。
『星野さんがさ、新米入ればなんとかなるって言ってたけど、ちゃんと新米入るまでまだ多少あるだろ?』
「そうだねえ、でも足りない時は言ってね、俺が食費出してるからご飯が千歳へのお供えにカウントされるんだから」
『うん』
その後、和泉は五千円札を渡してくれた。
「二千円は、千歳このところの仕事お疲れ様ってことで、お菓子でも買いな」
『え、いいのか!?』
「全然いい」
和泉は笑った。
『ありがとう、えー、どうしようかなあ』
でも、買いたいお菓子、最近は自分の金で買ってるしな……あ、そうだ、和泉のおやつの材料に使おう! そしたらワシも和泉もうまいものが食べられてお得! 何買おうかな、よく使うココアパウダーとかゼラチンとか小麦粉買っとこうかな? それとも、本物の杏仁豆腐食べてみたかったから、杏仁霜にしようかな?
ワシは、これからもずっと、和泉に飯を作って食わせてやれると思ってた。ワシが知らないところで、和泉がすごく心を砕いてたなんて、全然気づかなかった。




