二十歳のお祝いしてあげたい
ところで、千歳は8月6日が誕生日である。戸籍上とは言え二十歳になるんだし、なんかお祝いしてあげたい。でも、千歳が喜ぶ鉄板であるチョコミント製品は、最近、千歳が自分で買ったり取り寄せたりしてるしなあ……。どうするか。
思いつかなかったので、夜にソファで隣り合って千歳(朝霧の忌み子のすがた)と座ってるときに『今度千歳誕生日だけど、欲しいものある?』と聞いてみた。
『んー、外で飯奢ってもらうんでもいいか?』
「もちろん」
『じゃあワシ、令和の回転寿司行ってみたい!』
「回転寿司?」
『プリンとかケーキとかも回ってくるんだろ?』
千歳の瞳はワクワクしている。そうか、回転寿司がファミレス化したのは平成以降だしな。ベースが昭和知識な千歳には新鮮なのか。
「でも、回転寿司なんかでいいの? 一応、二十歳のお祝いだよ?」
『あ、そっか。でもこの格好で外で酒飲んだら怒られそうだしなあ……』
千歳は考え、『家で飲む用のビールもつけてくれ』と言った。
『暑いから、ビールぐっといきたいんだ。六本くらいでまとめてあるやつがいい』
「じゃ、回転寿司とビール奢りね」
俺はスマホにメモった。ビールはいろんな種類詰め合わせのほうがいいかな、それなら近所のスーパーよりAmazonのほうがありそうだ。
行ける範囲にある回転寿司を調べると2つあり、ひとつは高級志向でクラシックなメニュー、ひとつは庶民価格でファミレスメニューだった。
「ちょっと高級でクラシックで、でもケーキない回転寿司と、ファミレスみたいなメニューでケーキもアイスも出てくる回転寿司と、どっちがいい?」
千歳は元気に答えた。
『ファミレスの方!』
「そっか」
予想できる答えではあった。まあ、そのほうが懐的には助かる。
『ファミレスの方の回転寿司、なんてところだ?』
「スシロー」
『ホームページにメニュー載ってるか?』
「多分全部載ってる」
『じゃ、何食えるか調べとこっと』
千歳は自分のスマホをいじりだした。……ていうか、千歳、インターネットがなんだかよくわからない状態から、大体のお店にはホームページがあること、そこにお店の情報があること、ホームページを自分で見に行くこと、全部身につけたんだな。すごいな。タイピングもできるようになってきてるし……。
千歳と出会って二年と数ヶ月。千歳はこれからもどんどんできることが増えて、成長していくのかな。
そんな千歳の姿を、これからも横で見続けられればいいな。なんとなく、そう思った。




